おすすめのプロモーション
ベトナムにおける地雷の現実、除去には100年が必要
<写真:nnmt.net.vn>
ベトナム国防省によると、全国に広がる約556万haに及ぶ地雷・不発弾汚染地域を完全に除去するためには、深さ0.5mまでの作業を前提として総額208兆ドン(約1兆2407億円)以上の費用が必要であり、作業完了までには数十年、場合によっては100年近い歳月を要するとの試算が示された。
これは国土全体の約17%に相当する規模であり、極めて深刻な問題とされている。
現在、国防省傘下にある280のチームと約5000人の作業員が、年間3万〜3万5000haのペースで除去作業を行っている。しかしこの進捗状況では、全地域の除去完了までに150年を要する計算となる。
今後40年以内の完了を目指すためには、600チーム・約9000人規模への体制拡充と、年間5兆ドン(約298億2500万円)の安定的な予算確保が不可欠である。
特に中部地域やタイグエン地方、さらにハノイ市やホーチミン市においては、建設工事や農作業中に高威力の不発弾やクラスター爆(M117、MK81など)が発見される事例が続いており、安全対策の遅れが深刻な社会問題となっている。
2006年から2025年の間に発生した爆発事故による死傷者は901人に上り、そのうち172人が命を落としている。
多くの事故は住民による自主的な爆弾の収集や解体行為に起因しており、リスク認識の浸透や教育の重要性が指摘されている。
除去作業の進捗についても課題が残っており、過去15年間で除去された面積は約52万7000haにとどまり、当初計画のわずか40%の達成にとどまる。
さらに、統一的なリスク区分制度や高精度な汚染マップの整備が未完了であり、現在も戦時中の資料や地域住民の証言に頼らざるを得ない状況である。
これを受けて国防省は、リスクを4段階に分類する新たな制度設計、安全地帯に関する明確な基準の策定、土地利用計画やインフラ整備との情報統合、そして国民が利用可能な公開型リスクマップの構築を盛り込んだ法制度の整備を提案している。
これにより、リスクの高い地域を優先的に除去しつつ、経済発展と住民生活の安全確保の両立を図る方針である。
加えて、除去作業に従事する作業員への保険・医療支援制度の導入や、被害者支援制度の整備も検討対象となっている。
国防省の報告によれば、ベトナムは地雷・不発弾による汚染が世界で最も深刻な国の1つであり、ベトナム戦争中に米軍が投下した爆弾の総量は約1535万トンにのぼる。
そのうち戦後も約80万トンが未処理のまま残存していると推定されており、今後も国際協力と国家的取り組みを継続的に推進していく必要がある。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。