ベトナムで風邪を引いたらどうする?ベトナム人の風邪の治し方をご紹介
ベトナムでは、3月は全国的に乾季のシーズン。
湿度が低いので過ごしやすのですが、気温が高くなる時期でもあります。
外は30度近くの暑さなのに、室内は冷房キンキンだったり…
この時期に日本からベトナムにやって来たという方にとっては、気温差が激しいですよね。
この気温差で、風邪を引いてしまうという方も少なくないのではないかと思います。
ベトナムで風邪を引くと長引くとよく言われますが、皆さんは風邪を引いた時どのようにして治していますか?
おそらく、風邪薬を飲み、うどんやおかゆを食べて寝るなどの方が多いのではないかと思います。
そんな方々に、今回はベトナム人の風邪の治し方をご紹介します!
ベトナムにいるからこそ体験できることですので、ぜひ皆さんも試してみてくださいね。
ベトナムの医療について
ベトナムの医療は、昔、中国から入って来た中国医学が元になっており、「薬を飲んで治す」ではなく「自然の力で治す」ものとされています。
薬は副作用が出て、逆に何かしらの病気にかかってしまう恐れがあると考えられているようです。
なので、風邪を引いた時は、葉や線香、フルーツ、食べ物などを活用して、血行を良くしたり、汗をかいたりして、風邪の原因となっている体の悪い部分を改善していきます。
このような自然に風邪を治す医療を作ったのは、神農と呼ばれる神様。
農業の神である神農は、百葉をなめて薬草を見分け、人々に医療を教えてきたと伝えられており、現在まで受け継がれてきました。
ちなみに、神農はベトナムでは星座の「さそり座」として考えられているようですよ。
それでは、実際にベトナムではどのような方法で風邪を治しているのでしょうか?
ベトナム人の伝統的な風邪の治し方
①背中をスプーンやコインでこする
この方法は知っている方も多いのではないでしょうか?
背中にタイガーバームや風油精などのスースーするものを背中に塗り、スプーンなどで赤くなるまでゴシゴシこすっていきます。
戦争時代は、アメリカ兵が使用していた認識票を各家庭も持っており、それでこすっていたと言います。
なぜ背中なのかというと、背中にはツボがたくさんあるから。
ゴシゴシして肌に刺激を与えることで、血行を促進し、体の巡りを良くします。
咳風邪の場合、肺の働きをよくするツボもあるらしく、そこをこするのもいいみたいです。
こちらの療法は、中国医学では良くないとされています。中国医学では血流を良くすることは体に良いことですが、スプーンなどで肌を擦ることは肌の下の血管を破壊するからです。
また、子供は出血熱にかかる恐れもあるようですので、くれぐれもご注意ください。
②布団をかぶって、湯気を吸う
汗をかき、葉の香りで風邪の症状を軽くするのが目的で、わかりやすく言うと、アロマ+サウナの組み合わせと言えるでしょう。
ベトナム語では、Xong Laと呼ばれています。
やり方は、柑橘系の葉っぱやフルーツの皮、アロマオイルにできる香りの良いものを集めます。
例)みかんまたはグレープフルーツ+かぼす+レモングラス+グアバ+しそ+竹の葉+グレープフルーツの皮
こちらは家庭によって何を使用するか異なるようで、用意できない場合は風油精だけでもいいそうです。
出典元:http://alodoctor.com.vn/tin-tuc-suc-khoe/nguyen-lieu-noi-la-xong-tri-cam-tai-nha.html
そして、それらを全て鍋の中に入れ、お湯で沸騰させます。
鍋と一緒に布団に被り、湯気を鼻で吸って口で吐き、汗をたくさんかくことで血流がよくなり、症状が軽くなります。
その後、鍋の汁を頭からかけると、殺菌作用で体についた菌をさらに殺すことができます。
③副鼻腔炎で苦しいときは、葉っぱを燃やして煙を吸う
鼻風邪の時によく患ってしまいやすいのが副鼻腔炎。
副鼻腔炎のときは、Ca Doc Duoc(チョウセンアサガオ)の葉を焼いた熱い石に乗せます。
お線香のように煙が出てくるので、その煙を吸うと、副鼻腔炎の症状が軽くなるようです。
しかし、こちらの煙は肺に良くなく、ガンになる可能性もあると言われているのでおすすめできません。
④お灸でツボを刺激
東洋医学の一つ、お灸。日本でも人気がある療法ですよね。
お灸は、体を流れるエネルギーが集まりやすいツボを刺激することで、血液やリンパが改善され、免疫力がアップします。
La Ngai Cuu(オショウヨモギ)という葉を干して乾燥させ、丸めて固めます。
出典元:http://ihph.org.vn/chua-dau-dau-bang-ngai-cuu-don-gian-nhat-17358.html
火をつけたらツボに近づけ、その温かさで血行を促進します。
ヨモギの香りはリラックス効果も期待できるので、香りも楽しんでみてください。
ベトナムでは〇〇になったら●●する?!〜その他の病気編〜
①便秘になったら、とりあえずパパイヤ
便秘でお困りの方や、環境変化などによるストレスで便秘に悩まされているという方、
まずはパパイヤを食べてください。
パパイヤは、食物繊維が豊富で、消化がよく腸の調子を整えてくれる効果があると言われています。
ダイエット中の方にもオススメです。
②お酒を飲んだ後は、酸っぱいドリンク
お酒を飲んで気分が悪くなった時、少し飲み過ぎてしまった時は、酸っぱいドリンクを飲むようです。
酸っぱいドリンクというのは、レモン+生姜+塩をミックスしたもの。
飲酒後にこれを飲むとスッキリ感を味わえるそうです。
③咳がでたら、エビを食べてはいけない
エビを食べると、エビの中に入っている何かしらの物質が喉を刺激して症状を悪化させます。
④怪我をしている時は、牛肉、空芯菜、海鮮を食べてはいけない
切り傷を負う怪我をしている場合、牛肉を食べてはいけないと言われています。牛肉はたんぱく質が豊富で、切り傷を治すことはできるけれど、皮膚下の肉がたんぱく質により増え過ぎてしまい、傷は治っても、皮膚がその部分だけふくらむ可能性があるからです。
また、空芯菜は鉄分が多いため、血が豊富になり、傷跡が黒くなってしまう恐れがあると言われています。
怪我をしている時に海鮮を食べると、傷口が痒くなる可能性があるそうです。特に、エビやカニには注意が必要です。
⑤歯が痛くなったら、キク科の花を噛む
キク科の花は噛むと苦味はありますが、ミントのようにスースーしているそうです。
実際に、ベトナムではキクを使用した歯磨き粉もあります。
まず花をつぶし口に入れ、虫歯につけます。そのキクを噛むと、殺菌効果により虫歯の菌を殺してくれるようです。
また、つぶした花を体の傷口につけるのも、殺菌作用で傷が治りやすくなります。
⑥蕁麻疹の時は、温めた葉っぱをあてる
蕁麻疹にかかってしまった時は、La Trau(キンマ)という葉を焼いて温めます。
引用元:https://news.zing.vn/nhung-ly-do-la-trau-tot-cho-phu-nu-khi-cham-soc-co-be-post770510.html
温めた葉を患部に当てると、かゆみがおさまり、殺菌効果で広がりにくくしてくれます。
また、La Trauを切ってお湯で茹で、そのお湯を患部にかけるのもいいそうです。
⑦赤ちゃんの舌にミルクのカスが残ってしまったら、葉で拭き取る
赤ちゃんの舌はミルクのカスが残ってしまい、白くなることがあります。
そんなときは、ただタオルで拭き取るのではなく、Co mucという葉を使用しましょう。
この葉には殺菌効果があり、葉を潰して、その汁をタオルにつけて使用することで、安全にかつ綺麗に食べかすを拭き取ることができます。
まとめ
いかがでしたか?ベトナムの風邪の治療法、日本人にとっては初めて知る事ばかりだったと思います。ほとんどが葉を使用した治療法でしたが、これは簡単に手に入る雑草なので、誰でも簡単にできる治療法なのです。
病院に行くことはお金がかかるし、薬も安全かわかりません。
なので、ベトナムの人々はこうして自然から得ることができる、自然な治療法を受け継いできたのではないでしょうか。
ぜひ、ベトナムでしか体験できないこととして、風邪を引いた時はこれらの治療を試してみてくださいね。