ベトナムの調味料ガイド|ヌクマム・サテトム・エビ塩など定番を紹介
目次
ベトナム料理の味を支えているのが、魚醤のヌクマム(Nước mắm)、エビ入りの辛味調味料サテトム(Sa tế tôm)、発酵エビペーストのマムトム(Mắm tôm)、ライム塩やエビ塩などの調味料です。
香りが強いものもありますが、すべてが「臭い」「激辛」というわけではありません。
日本の料理にも使いやすいものが多く、スーパーで手軽に買える商品はベトナム土産としても人気があります。
この記事では、ベトナムでよく見かける定番調味料を、味・使い方・お土産向きかどうかまでわかりやすく紹介します。
この記事のポイント
- ヌクマムは魚と塩を発酵させたベトナムを代表する魚醤
- サテトムはエビのうま味と唐辛子の辛味を楽しめる万能調味料
- マムトムとマムルオックは似ているが、同じものではない
- ライム塩・エビ塩・ベトナム醤油は日本の食卓でも使いやすい
- 日本へ持ち帰る場合は液体物と肉製品のルールに注意する
ベトナムの定番調味料を早見表で比較
| 調味料 | 味・特徴 | 主な使い方 | お土産向き |
|---|---|---|---|
| ヌクマム Nước mắm |
塩味とうま味の強い魚醤 | 炒め物、煮物、スープ、つけだれ | △ 液体・香りに注意 |
| サテトム Sa tế tôm |
エビのうま味+唐辛子の辛味 | フォー、鍋、炒飯、炒め物 | ◎ 使いやすい |
| マムトム Mắm tôm |
発酵エビの強い香りと塩味 | ブンダウマムトムなどのつけだれ | △ 好みが分かれる |
| トゥオンオット Tương ớt |
甘み・酸味のあるチリソース | 揚げ物、麺、ファストフード | ◎ |
| トゥオンデン Tương đen |
甘みとコクのある濃色ソース | フォー、生春巻き、肉料理 | ◎ |
| ヌオックトゥオン Nước tương |
大豆を使ったベトナムの醤油 | つけだれ、炒め物、煮物 | ◎ |
| ムオイティエウチャイン Muối tiêu chanh |
塩・こしょう+ライム系の爽やかな風味 | 鶏肉、魚介、果物 | ◎ |
| ムオイトム/ムオイオット Muối tôm / Muối ớt |
エビや唐辛子を加えた風味塩 | マンゴーなどの果物、焼き物 | ◎ |
| ヌオックマウズア Nước màu dừa |
濃い色と香ばしい甘みを付ける | 肉や魚の「kho(煮込み)」 | ○ |
2026年8月時点のスーパー価格例
Co.op Onlineでは、Cholimexのサテトムが90gで9,500ドン、100gで12,500ドン、170gで28,000ドン、ライム塩こしょう90gが9,700ドン、チリソース270gが14,800ドンの商品例があります。黒こしょう80gは42,500ドンの商品例が確認できます。
一方、フーコック産ヌクマムは熟成や窒素含有量、ブランドで価格差が大きく、WinMartでは520〜525mlで11万〜15万ドンほどのプレミアム系商品もあります。価格は店舗・容量・セールで変わるため、店頭表示を確認してください。
ヌクマム(Nước mắm)|ベトナム料理の基本となる魚醤
ヌクマムは、魚と塩を混ぜて発酵させて作る魚醤です。FAO・WHOのCodex規格でも、魚と塩の混合物を発酵させて作る調味料として定義されています。
ベトナムでは炒め物や煮込みの味付け、スープの隠し味、肉や魚の下味など幅広く使われます。フーコックなどではカタクチイワシ類を使った伝統的な魚醤作りが知られています。
ヌクチャム(Nước chấm)との違い
Nước chấmは「つけだれ」全般を指す言葉です。家庭や料理によって配合は異なりますが、ヌクマムをベースに水、砂糖、ライムや酢、にんにく、唐辛子などを加えた甘酸っぱいつけだれがよく使われます。
そのため、瓶からそのまま使う魚醤の「ヌクマム」と、食卓で料理をつける「ヌクチャム」は同じものではありません。
タイのナンプラーとの違いは?
ヌクマムとナンプラーはいずれも魚と塩を発酵させる魚醤の仲間です。ただし、魚の種類、熟成期間、塩分、糖類などの配合は商品ごとに異なります。
「ヌクマムは必ずナンプラーより塩味が弱い」などと一律に比較することはできないため、料理では少量ずつ味を見ながら加えるのがおすすめです。
サテトム(Sa tế tôm)|エビ入りの辛味調味料
Sa tế(サテ)は唐辛子や油を使った辛味調味料の一種で、Sa tế tôm(サテトム)はエビを加えたタイプです。
「ベトナム版の食べるラー油」と表現するとイメージしやすく、フォーやブンなどの麺料理、鍋、炒飯、野菜炒め、卵料理に少量加えるだけでも香りと辛味が増します。
原材料は商品によって異なります。たとえばCholimexの現行商品「Sa tế tôm」の公表資料では、食用油、唐辛子、乾燥エビ、にんにく、ガランガル、玉ねぎなどが使われています。
日本人が使いやすい調味料を1つ選ぶなら、サテトムは有力候補です。冷奴、炒飯、ラーメン、鍋、餃子のたれなど、日本の食事にも合わせやすいです。
マムトム(Mắm tôm)とマムルオック(Mắm ruốc)|発酵エビ系の調味料
マムトムは、小型のエビやアミ類を塩とともに発酵させたペースト状の調味料です。香りがかなり強く、初めて食べる人にはハードルがありますが、北部料理のブンダウマムトム(Bún đậu mắm tôm)には欠かせない存在です。
食べる際は、柑橘、砂糖、唐辛子などを加えて好みの味に整えることがあります。
マムトムとマムルオックは同じではない
元記事では「違いはエビの大きさだけ」としていましたが、この説明は正確ではありません。マムルオックは中部・南部でもよく使われる発酵調味料で、原料や製法、仕上がりの質感、色、料理での使い方がマムトムと異なります。
見た目や香りが似ていても、料理では別の調味料として扱うのが安全です。
トゥオンオット・トゥオンデン・ベトナム醤油
チリソース(Tương ớt)
Tương ớtは、ベトナムの食堂やファストフード店でもよく見かけるチリソースです。商品によって辛さは異なりますが、甘みや酸味を含むタイプも多く、揚げ物、麺、バインミーなど幅広く使われます。
トゥオンデン(Tương đen)
Tương đenは、甘みとコクのある濃色ソースです。南部のフォーで卓上調味料として使われたり、生春巻きのつけだれに使われたりします。
商品ごとに原材料や味が異なるため、「日本の味噌と同じ」と考えるよりも、甘みのある濃厚なソースとして使うとわかりやすいです。
ベトナム醤油(Nước tương)
Nước tươngは大豆を使った醤油系調味料です。日本の醤油と同じ感覚で使える商品もありますが、甘みや香りはブランドによって異なります。
日系ブランドでは、Ajinomoto Vietnamが「Phú Sĩ」を現在も販売しています。公式情報では、大豆と米を使い、自然発酵させた醤油原液を使用しています。
ヌオックマウズア(Nước màu dừa)|煮込みの色と香ばしさを付ける
Nước màu dừaは、ココナッツ由来の原料を煮詰めた濃色の調味料で、肉や魚を甘辛く煮る「kho(コー)」料理などで色と香ばしい甘みを加えるために使われます。
デザート用のキャラメルソースとは用途が異なるため、スーパーでは「Nước màu dừa」や「coconut caramel」の表示を確認すると探しやすいです。
ライム塩・エビ塩・チリソルト|果物や肉に合うベトナムの塩
ベトナムでは、マンゴーやグアバなどの果物に塩や唐辛子入りのシーズニングを付けて食べる文化があります。肉や魚介にも使えるため、液体調味料より持ち運びやすく、日本の食卓でも使いやすいお土産です。
ライム塩こしょう(Muối tiêu chanh)
塩、こしょう、柑橘系の酸味を合わせたタイプです。鶏肉、魚介、揚げ物、焼き物などと相性が良く、ベトナム料理に慣れていない人にも使いやすい味です。
エビ塩・チリソルト(Muối tôm / Muối ớt)
Muối tômはエビのうま味を加えた塩系調味料、Muối ớtは唐辛子を加えた塩系調味料です。商品によってエビ・唐辛子・にんにく・砂糖などの配合が異なります。
特に「Muối tôm Tây Ninh(タイニンのエビ塩)」は土産物としても見かけやすく、果物、焼き肉、フライドポテトなどに使えます。
タマリンド・こしょう・シナモン・クローブ|料理を支える酸味とスパイス
タマリンド(Me)
タマリンドは甘酸っぱい果実で、ベトナムでは酸味を加える材料としてスープ、炒め物、つけだれなどに使われます。料理用には果肉やペースト状の「cốt me」などが販売されています。
こしょう(Hạt tiêu)
ベトナムは世界有数のこしょう生産・輸出国です。スーパーでは黒こしょう、白こしょう、粒こしょう、粉末タイプなどを選べます。
ベトナム工商省の2026年3月公表資料では、2026年1〜2月のベトナムのこしょう輸出量は3万5,570トンと報告されています。
シナモン(Quế)・クローブ(Đinh hương)
シナモンやクローブは、牛肉のフォーなどのスープで香り付けに使われるスパイスです。フォーの香りには八角やカルダモンなど複数のスパイスが使われるため、「必ずクローブだけが必要」というより、レシピに合わせて組み合わせます。
ベトナムの調味料をお土産にする時の注意点
調味料は小さくて価格も手頃ですが、日本へ持ち帰る際は中身によって注意点が異なります。
- 液体調味料:Vietjetの国際線規定では、機内持ち込みの液体は1容器100ml以下、合計1Lまでです。航空会社や経路で条件が異なるため、搭乗便の規定を確認してください。
- ヌクマム・マム系:Vietnam Airlinesは魚醤など強い臭いのある液体を手荷物に入れないよう案内し、受託手荷物にも容量・容器・梱包条件を設定しています。自己流の漏れ対策だけでなく、搭乗航空会社の条件に従ってください。
- 塩・スパイス:液体より持ち運びやすいですが、開封済みより未開封の商品を選ぶと扱いやすいです。
- ポークフロスなど肉製品:調味料ではなく肉加工品です。日本の動物検疫では、海外からの肉製品の多くは検査証明書がなければ持ち込めません。お土産として安易に購入しないよう注意してください。
元記事に掲載していた「ポークフロス(Chà bông thịt heo)」は、今回の更新では定番調味料の一覧から外しました。料理のトッピングとしては一般的ですが、調味料そのものではなく、日本への持ち込みにも動物検疫上の注意が必要です。
ベトナム調味料のよくある質問
Q. ベトナムの調味料は全部辛いですか?
A. いいえ。サテトムやチリソースは辛い商品がありますが、ヌクマム、ベトナム醤油、ライム塩、ココナッツカラメルなど、辛くない調味料も多くあります。
Q. 初めて買うなら何がおすすめですか?
A. 日本の料理にも使いやすいのは、サテトム、ライム塩こしょう、エビ塩、ベトナム醤油です。魚醤に慣れている人ならヌクマムもおすすめです。
Q. ヌクマムとヌクチャムは同じですか?
A. 同じではありません。ヌクマムは魚醤、ヌクチャムはつけだれを指します。ヌクチャムにはヌクマムを使うレシピが多くあります。
Q. マムトムは初心者でも食べやすいですか?
A. 香りが強いため好みが分かれます。初めてなら、専門店でブンダウマムトムなど完成した料理として試してから瓶を買うのがおすすめです。
まとめ
ベトナムの調味料は、魚醤、発酵エビ、辛味ソース、醤油、香味塩、スパイスまで種類が豊富です。
定番のヌクマムはベトナム料理のうま味を支える調味料で、サテトムやライム塩、エビ塩は日本の料理にも取り入れやすいのが魅力です。一方、マムトムやマムルオックは香りが強いため、まず料理店で味を試すと選びやすくなります。
スーパーで選ぶ際は、辛さ、原材料、容量を確認し、お土産にする場合は液体物や日本の動物検疫のルールにも注意してください。
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