物価上昇によりベトナム人の豚肉消費量が低下

2022年07月04日(月)11時40分 公開
物価上昇によりベトナム人の豚肉消費量が低下

〈写真:VnExpress〉

 

ベトナムの家庭ではここ数カ月、物価の上昇に伴い豚肉の消費量が減り、鶏肉や卵など他のタンパク源への切り替えが進んでいる。

 

豚肉は1kgあたり10万〜13万ドン(約578円〜752円)となり、鶏肉の2〜3倍の値段になっている。

 

ホーチミン市在住のタオさん(32)は、「多くのものが高騰しているが、私の給料は変わらない。高いものへの出費を抑えなければいけない。私たち家族は、週に1〜2回しか肉を食べることができない」とため息を漏らす。

 

地元報道機関が6月末に畜産農家を対象にした調査では、生きた豚の価格は1kgあたり6万ドン(347円)を超え、価格が上昇している。大多数の農家が、動物用飼料のコストが上昇したことにより価格が上昇したと述べており、生まれたばかりの豚の価格も2ヶ月前と比較して20%上昇した。

 

経済協力開発機構(OECD)によると、ベトナム人の大半は、タオさんの家族のように豚肉を食べることが少なくなっている。2016年〜2018年にかけて、ベトナムは1人当たりの豚肉平均消費率が年間30〜31kgと世界で最も高い国の1つであったが、パンデミック渦中の2年間は26kgに減少していた。

 

フランスに本拠を置く多国籍市場調査会社イプソスのデータでも同様に、ベトナム人1人当たりの豚肉消費量は年間約30kgから2021年には23.5kgに減少していることが算出されている。

 

イプソス・ベトナムのディレクターのQuach氏によると、豚肉が最優先されなくなった理由は3つある。

 

1つ目は、アフリカ豚コレラ熱の発生によって世界の供給に深刻な影響が与えられたこと。2つ目は、物流費などの投入コストが大幅に上昇し、豚肉の価格が断続的にではあるが高騰し続けたこと。3つ目は、ポスト新型コロナウイルスの時代として人々が支出を減らし、豚肉よりも安価な動物性タンパク源を求めるようになったことである。

 

数年前から、鶏を中心とする鳥肉の1人当たり消費量が急速に増加しており、2016年には12kgであった消費量が現在は20kgに増加している。また、シーフードの消費量が豚肉を上回り、1人当たりの消費量は年間29kgとなっている。他の肉よりも高価な牛肉の1人当たりの消費量は、年間4.3 kgから5 kgへとわずかに増加した。

 

VNDirect Securities Companyが5月末に発表した食肉業界の分析によると、レストランや工業用キッチンが今年第1四半期と同じ割合で消費を続ける一方で、子供たちが夏休みに入ると肉の需要が増加する可能性が高い。

 

Quach氏はアフリカ豚熱の発生を原因として、今後数ヶ月の間にさらに豚肉の供給が減少し価格が上昇すると予想する。

 

食肉用の生きた豚の価格は、2021年10月〜2022年4月の間に記録した5万1000ドン(約295円)から5万4000ドン(約312円)の範囲よりも高く、1kgあたり6万ドン(約347円)以上で推移すると予想されている。

 

市場関係者によると、物価上昇の中で支出を均衡させる圧力は短期的な消費回復を困難にしているが、豚肉市場は依然として今後の成長の余地が大きいと考えられている。

 

ある上場食品会社のCEOによると、豚肉市場の規模は約100億ドル(約1兆3511億円)であり、ベトナムで販売されている製品の90%はノーブランドだという。一方で、消費者の健康志向が高まっており、価格高騰が過ぎた後にはブランド化されたトレーサビリティのある肉製品への需要が高まることが予想される。

 

OECDの予想では、2023年までにベトナム人1人当たりの豚肉消費量は約27.7kgとなり昨年より7%増加する。2029年には、この数字はパンデミック前よりも高い32.7kgに上昇し、韓国と中国を抜いて世界の1人当たりの消費量でトップに立つ可能性がある。

 

 

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