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多くの労働者がヤミ金から借金、高利貸しは雇用主に脅迫を行う
〈写真:VnExpress〉
ホーチミン市で高利貸しが支払いの滞った労働者の雇用主に嫌がらせをし、業務や親族に対して破壊的な行為を行うとして脅迫する事態が頻発している。
同市トゥードゥック市の物流会社Long Rich Vietnamの外線電話はここしばらくの間、高利貸しからの「借金を返済しない従業員を引き渡せ」という内容の電話で鳴り止むことがない。
高利貸しは、同社が従業員の返済に協力しない場合には、ソーシャルメディアに同社に関する有害情報を公開し、暴力団を送り込み工場を破壊すると脅迫する。
早朝から夜遅くまで電話が鳴り止むことはなく、顧客や取引先からの電話も受けられない様な状況に陥っている。また、高利貸しは同社の外線電話だけではなく、組合長や事務局など会社関係者の携帯電話にも同様の要求や脅しの電話を掛けている。
同社のグエン・ティ・トゥイ・バン労働組合長によると、同工場が雇用している約5000人の労働者のうち約30%が高利貸しから借金をしており、中には借りた1000万ドン(約5万8370円)が数カ月の内に1億ドン(約58万3670円)に膨れ上がっている様なケースもあるという。
高利貸しは既にソーシャルメディア上で同社幹部社員の加工した画像を拡散し、詐欺師であるとして会社の誹謗中傷を行っている。
同市ビンタン区の履物メーカーPouyuen Vietnamの工場には、同社を中傷する数十通のメールが毎日届き、高利貸しからは1日70件近くの電話が掛かってくる。
同社の人事担当者Hさんによると、高利貸しはHさんの携帯電話番号だけでなく、夫の電話番号、家族の名前、子供の学校も把握しており、Hさんが労働者の借金返済に協力をしなければ、Hさんの家族を1人ずつ傷つけるとして脅迫されているという。
同社労働組合によると、約400〜500人の労働者が高利貸しから借り入れを行い返済不可能な状態に陥っている。そうした労働者の多くは携帯電話の番号を変更し、同社を退職していっており、会社の経営に大きな支障をきたしている。
両社ともに、高利貸しによって採用ホットラインが妨害されてしまっており、新規に従業員を採用することができないでいる。
同市ビンチャイン郡のVinh Loc工業団地にあるCholimex Food JSCのファム・テェ・トアン人事部長は、同社の工場では労働者500人の新規採用が必要であるが、高利貸しからの電話に恐怖しており、応募者か高利貸しか分からない番号の着信に出る勇気がないと嘆く。
トアン人事部長の写真はソーシャルメディア上に投稿され、「詐欺師の労働者をかばう人間」として誹謗中傷が行われている。
こうした状況に対して警察は、高利貸しは未登録のSIMカードや偽のソーシャルメディアアカウントを使用しているため、追跡が困難であるとして頭を抱えており、嫌がらせや脅迫を受けている企業やその工場は何の保護も受けることができずにいる。
同市労働組合のチャン・ティ・デュウ・トゥイ委員長は、同市労働組合にも工場から多くの報告が寄せられており状況は認識しているという。
同市には貧困者雇用資本援助基金(CEP)があり、労働者に非常に低い金利で融資を行っているが、需要は「膨大」であり、CEPのリソースは非常に限られている。
そのため、労働者は簡単に見つけることができ、迅速かつ簡単な手続きでお金を借りることができる高利貸しを利用する状態となっている。
6月に行われたファム・ミン・チン首相と全国の労働者との会談で、同首相は中央銀行に対し、高利貸しの被害を食い止め、必要な人が簡単に銀行融資にアクセスできる方策を打ち出すように要請した。また、公安省に対して、規制に違反する者に対して迅速に対処し、経済や労働者に影響を与える結果を防ぐように要請している。
同会談では、過去3年間に公安省は5000人近くが関わる事件2700件以上を処理し、被告4000人を含む2000件近くの事件を起訴したことが発表された。このうち1000件以上の事件の被害者は労働者であった。
公安省のルオン・タム・クアン副大臣によると、高利貸しは金融支援サービスを提供する企業を装い非常に「巧妙な」犯罪を犯している。ベトナムの高利貸しによる金利は月90〜100%、最高で月700〜1000%のケースもあり、借り手が期日までに支払いを行わなかった場合には酷い脅迫を行い、資産を根こそぎ毟り取るという。
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