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ベトナムの若者世代、早期的な老後準備が不可欠:国連人口基金

2022年10月27日(木)09時54分 公開
ベトナムの若者世代、早期的な老後準備が不可欠:国連人口基金

<写真:VnExpress>

 

国連人口基金(UNFPA)ベトナム事務所の北原直美所長によると、ベトナムは急速に高齢化が進んでおり、同国の若い世代は健康な老後を送るために早期的な準備を進める必要がある。

 

ベトナム統計総局によると、2039年には同国の65歳以上人口が総人口の15%を超えると予測されており、これは2007年以来ベトナムに存在した人口動態の黄金時代が終わることを意味する。

 

ベトナムの急速な高齢化の背景には死亡率や出生率の低下があり、出生時平均寿命は73.6歳(男性71歳、女性76.3歳)、合計特殊出生率は1989年の3.8から2019年には2.09とほぼ半減している。

 

その結果として2021年には60歳以上人口が12.8%を占め、2036年には20%に増加すると予測されており、ベトナムはわずか20年以内に「高齢化」から「高齢」へと移行することになる。

 

ベトナムでは高齢者人口の11.7%である147万人が少なくとも1つの機能障害(視覚、聴覚、移動、認知、コミュニケーション)を持ち、高齢者人口の6.32%である79万6000人が日常生活動作の少なくとも1つを行うのが非常に困難、または行えないと感じていると推定されている。

 

同国の高齢者ケアシステムは未整備の状態であり、高齢者ケアを含む高齢者の社会保護に注意を払う必要がある。

 

しかし、人口の高齢化は課題であると同時に機会をもたらすものでもあり、高齢者の経験やスキルを発展のためのリソースと見なすべきである。また、高齢者介護の需要の高まりは民間企業にとって新たなビジネスチャンスとなる可能性が高い。

 

ベトナムでは高齢者割合の増加速度に対して現在の社会保護や医療制度、サービスが対応することは非常に困難になってきている。また、少子化や家族構成・社会規範の変化によって1人暮らしの高齢者が増加しており、介護の必要性も高まっている。

 

同国の生産年齢人口の割合は高齢化によって2039年までに減少すると予測されているが、現代の高齢者は健康で就業可能であり、働く意欲もあるという点も認識しなければならない。

 

2019年に実施された「ベトナム高齢化調査」によると、同国では42.8%の高齢者が収入のために週35時間以上とほぼフルタイムで働いており、労働力リソースとしての活用が可能であることが明らかになっている。

 

高齢者は社会にとって価値のある知識や専門技術、知恵、価値観を蓄えており、それを活用する仕組みの整備が必要不可欠となる。ベトナムが現状のままであれば、今後15〜20年の間に若者1人が高齢者6人の経済的負担を担うというシナリオに陥る。

 

こうした状況を踏まえ現在の若い世代はライフサイクルアプローチと呼ばれる高齢化する時期に備えた早期的な準備を進める必要があり、ベトナムの政策や戦略はこれを考慮したものとすることが重要である。

 

UNFPAベトナムは政府と協力して社会扶助制度や年金メカニズム、高齢者人口のための長期ケアシステムを含む国の社会保護システムを強化・拡大するために活動しており、政府が高齢化に対応したエビデンスに基づく政策やプログラムを実施できるように側面からの支援を行っている。

 

また、同基金は高齢者を社会の負担ではなく、資源として見るようにジェンダーに配慮したライフサイクルアプローチの活用を提案している。

 

UNFPAベトナムは最近、三菱総合研究所(MRI)との間で「高齢者の権利と尊厳を守り、医療・社会福祉サービスを向上させ、高齢者のための環境を整える」というベトナムにおける人口高齢化と人口問題に取り組むための覚書(MoU)を締結し、新しいパートナーシップをスタートさせた。

 

日本を代表するシンクタンクの1つであるMRIは高齢化社会や高齢者介護・支援といった幅広い分野で日本の官民に対して研究・コンサルティングサービスを提供しており、MRIの知見がベトナムの人口問題に取り組む上で有益となることが期待されている。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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