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定年退職という選択肢はない、ベトナム高齢者の実態

2022年06月27日(月)12時38分 公開
定年退職という選択肢はない、ベトナム高齢者の実態

〈写真:VnExpress〉

 

ベトナムの低所得層や老後の計画を持たずに高齢者となった層の生活に暗い影が落ちている。

 

家計を支える唯一の稼ぎ手であるフンさん(34)は、退職後にどの様に自分の面倒を見るのか、「全く想像がつかない」と話す。

 

フンさんは、親と子供の世話をしながら月給700万ドン(約4万600円)のカーテン工場で働いているが、月々に手元に残るお金は微々たるもので、老後の準備を考えることなど出来ない。

 

トゥードゥック市の住宅街で清掃員を務めるダンさんは、60代になっても毎日朝6時から夜遅くまで働いている。妻は近くの学校の調理室で働き、2人で月1350万ドン(約7万8220円)を稼ぐが、生活費と薬代をまかなうので精一杯である。

 

ダンさんの子2人は低賃金の肉体労働者であるといい、あまり両親を助けることができない。

 

フンさんとダンさんは、低所得と高齢者支援の不足により、貯蓄や老後の計画を持たずに年を取る可能性が高い、多くのベトナム人の1人である。

 

ベトナムには2019年に60歳以上の高齢者が1140万人以上おり、9人に1人の割合で高齢者がいることになる。国連人口基金は、2030年には6人に1人が高齢者になると予測しており、2040年には高齢化社会に突入するとされている。

 

ベトナムの高齢者のうち、年金や安定した収入がある人は約27%に過ぎず、残りの73%は経済的な困難に陥っており、仕事を続けるか、子どもに頼らざるを得ない状況にある。

 

国連によると、ベトナムの人口の約40パーセントが70〜74歳まで働かなければならず、10人の年長者のうち7人は、市場の売り子やタクシー運転手、廃品回収業者などの非正規雇用に就いている。

 

投資ファンドであるドラゴンキャピタル・ベトナム社の国内資産管理責任者は、労働者の多くは退職後の計画を持たず、日々の必要を満たすことだけに集中している。こうした人の多くは短期的な目標のためにだけ貯蓄し、持っているお金をすべて使ってしまうと指摘する。

 

労働者は退職後の経済的安定を確保するために、収入を多様化し、受動的収入を取り入れることを検討すべきである。

 

しかし、多くの高齢者が受給額が低すぎるために苦労している現状もある。

 

ホーチミン市在住のティエットさん(70)は衣料品会社で30年間働いたが、年金の支給額は毎月59万1000ドン(約3424円)だけである。妻は月300万ドン(約1万7382円)を受け取っているが、90歳になるティエットさんの母親の面倒を見なければならない。

 

そのため、ティエットさんは月給1000万ドン(約5万7941円)の学生寮で働かざるを得ないが、施設には1日23時間滞在することが義務付けられている。

 

社会生活研究所のグエン・ドク・ロック所長によると、高齢になってもコンサルタントとして働き続けられる高度な訓練を受けた労働者は別として、ほとんどの労働者は人生の晩年には低い年金で生活する以外の選択肢はない。

 

ホーチミン市では、4万5千人の高齢者が年金の受給資格を有しているが、受給額は平均月380万ドン(約2万2017円)未満で、同市の貧困ラインよりも低い。ほとんどの労働者は貯蓄がなく、年金だけでは最低限必要なものを満たすことができないため、仕事に戻らざるを得ない。

 

ベトナムは過去30年間、労働集約型の経済モデルを採用してきたにもかかわらず、高齢者介護政策にギャップがある。

 

ビンズオン省の工場で働くフンさんにとって、臨時収入が得られる可能性は限りなく低い。すでに長時間働いており、年金をもらっても生活できる可能性はほとんどない。

 

フンさんは「私には何もできない。一日一日を大切するだけ」と語った。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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