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ファーストリテイリング、チャイナプラスワンにノー
<写真:tuoitre-vn>
ユニクロの親会社であるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、製造業務における中国の重要性を強調し、他の多国籍企業が採用するチャイナプラスワン戦略を取る意向がないことを明らかにした。
柳井氏は日経アジアとのインタビューで「ファーストリテイリングは中国の繊維産業とともに成長してきた」と述べ、中国の工場管理や生産体制の重要性は変わらないと強調した。
柳井氏によれば、中国の工場は規模や効率で他国に大きく先行しており、数万人規模の若年労働者が稼働する生産体制は日本国内の工場とは一線を画すものであるという。
一方で、多くのグローバル企業がチャイナプラスワン戦略を採用し、中国経済の停滞や米中貿易摩擦といったリスクを回避するため、インドやベトナムなどへの投資を拡大している。
しかし、柳井氏はこの戦略を採用しない方針を明確にし、中国で築いてきた生産基盤を維持する理由を説明した。
柳井氏によると、中国での生産は長年にわたる経験に基づいており、これを代替する大規模な工場を新たに構築するのは容易ではない。
ベトナムの工場を中国の工場に匹敵させるためには、大規模に日本人スタッフを派遣しなければならないという。
ファーストリテイリングは9月時点で、全世界に397の提携縫製工場を持ち、そのうち211工場が中国、61工場がベトナム、26工場がバングラデシュに所在している。
また、生地生産を担う155のパートナー工場のうち75が中国に集中している。
同社はこれまで、中国やベトナムを含む提携工場に「匠(たくみ)」と呼ばれる専門家を派遣し、染色技術や縫製技術の指導を行ってきた。
しかし、柳井氏は一部の国では中国の工場ほどの品質を達成できていないと認める一方、そのような工場でも欧米市場向けの商品を生産するなど一定の役割を果たしているとした。
最後に柳井氏は、日本の消費者の品質要求水準が非常に高いことを強調し、「日本の大衆文化は世界トップクラスであり、価格を問わず服の品質に厳しい目を向ける文化がある」と述べている。
ファーストリテイリングの姿勢は競争激化するグローバル市場において中国依存の継続を明言するものであり、他企業の動向とは一線を画す戦略と言える。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。