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ベトナムの固定概念と性別選択、10年後に男性150万人が過剰
<写真:tuoitre.vn>
ベトナムでは2034年までに男性人口が女性人口を150万人上回ると予測されている。この背景には「男子を産むべき」とする伝統的価値観や「男女揃って初めて家族が幸せ」といった固定観念が存在し、胎児の性別選択とそれに伴う男女比の不均衡が問題となっている。
11月28日から29日にかけて、保健省人口総局と国連人口基金(UNFPA)はハイフォン市で報道関係者向けに、性別選択に関する情報共有と適切な報道手法の研修を実施した。
保健省人口総局副局長ホアン・ティ・トム氏によると、統計総局の予測では、現在の男女比不均衡が続けば2034年に男性が150万人過剰となり、2059年にはその数が250万人に達するという。
男女比の不均衡は2006年に初めて顕在化し、出生時の男女比が男子109.8人/女子100人に達した。それ以降、改善の取り組みによって増加の速度は抑えられたが、2012年以降は男子112人/女子100人と高止まりしており、2023年も同水準を維持している。
このような不均衡は、社会や経済、さらには政治的安定にまで影響を及ぼす可能性があり、個人や家庭、地域社会の規範にも波及する。また、女性の地位が低下することで、人身売買や性産業の対象となるリスクが高まる懸念も指摘されている。
UNFPAの性別と人権に関する専門家であるハー・ティ・クイン・アイン氏は「以前は男児を産むために7~8人もの子どもを産む家庭があったが、現代では医学の発達により性別選択が可能となり、家族計画の一環として性別を選ぶケースが増加している」と述べた。
さらに、自然な男女比が男子102~106人/女子100人であるのに対し、現在の不均衡は性別選択が主な要因であると指摘するとともに「胎児の性別選択を提供するサービスを規制するのは困難で、根本的な解決には固定観念を解消することが必要である」と強調した。
CSAGA(性別・家族・女性・青少年研究応用センター)のグエン・ヴァン・アイン所長も「男性を重視する価値観が性別選択を助長している。これは何世代にもわたり受け継がれた意識の問題であり、解消には時間と教育が必要である」と述べた。
近年、女性の社会的地位は向上し、家族の中でも男性が主柱であるべきという考え方は徐々に薄れつつある。しかし、依然として性別選択が続く背景には「男児でなければならない」という偏見が根強く残っていることがある。
アイン所長は「男性も女性も平等に扱われ、社会での役割を担う状況が実現すれば、偏見は徐々に解消されるであろう。子どもの性別に関わらず、子どもを授かり育てることが幸せと考える価値観を醸成することが重要である」と述べている。
ベトナムは今後、性別選択の抑制と男女平等の実現に向けた政策をさらに強化し、社会的意識改革を進める必要がある。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。