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25年のベトナム不動産市場、マンション投資の魅力が低下
〈写真:vneconomy.vn〉
2024年にベトナムではハノイ市のマンション価格が過去10年間で最大の上昇を記録したが、2025年には供給の増加や賃貸利回りの低下、投資心理の安定化により、マンション投資の魅力が低下すると予測されている。
不動産サービス大手CBREによると、2024年にハノイ市で新規販売されたマンションの平均価格は1㎡当たり7200万ドン(約44万3000円)に達し、前年比36%の上昇を記録した。これは2016年以来、最も高い上昇率である。
既存マンションの価格も前年比26%以上の上昇を見せ、過去最高を更新した。不動産情報サイトBatdongsan.vnのグエン・クオック・アイン副総裁は、マンション投資の年間平均収益率を約20%(価格上昇+賃貸収益)と評価している。
この利回りは株式や外貨、土地、定期預金など他の投資手段と比較しても安定しており、多くの投資家にとって魅力的な選択肢となっていた。
実際に地元メディアが約6000人を対象とした調査では、約40%が2024年に最も魅力的な投資対象としてマンションを挙げた。
しかし、2025年にはマンション市場の成長ペースが鈍化すると予測されている。その主な要因は①供給の増加、②賃貸利回りの低下、③投資心理の安定化である。
市場調査機関One Housingによると、2025年の新規供給戸数は2万3000戸、2026年には2万4000戸に達する見込みであり、これは2023年の約3倍に相当する。供給の増加は西部と東部の大型都市開発プロジェクトを中心に進められる予定である。
また、CBREの報告によれば、2025年から3年間でハノイ市の年間新規供給戸数は3万戸以上に達し、特にホアンマイ区(南部)、ロンビエン区(東部)、ダンフオン県(西部)などで開発が進む見込みである。供給の大部分は高級・超高級マンションに集中するとされている。
近年の価格高騰を支えてきた供給不足という状況が緩和されることで、マンション価格の上昇ペースは鈍化すると考えられる。CBREハノイ支社のグエン・ホアイ・アン上級ディレクターは「2025年のマンション価格上昇率は年平均6~8%程度にとどまる」と予測している。
賃貸収益率の低下も投資家にとってネガティブな要因となる。Batdongsan.vnのデータによると、2024年のハノイ市のマンション賃貸利回りは平均3.7%、ホーチミン市では3.6%にとどまった。
過去5年間でマンション価格は約59%上昇した一方で、賃料の上昇は10~15%にとどまり、一部のエリアでは30~40%の下落が見られた。供給の増加により、高級・超高級物件の空室率が高まり、賃貸利回りはさらに低下すると予測される。
Batdongsan.vnの専門家は「マンション購入価格と賃料のギャップが拡大することで、純粋な賃貸投資の利回りはさらに魅力を失う」と指摘している。
市場の投資心理も落ち着きを取り戻しつつある。EZPropertyのファム・ドゥク・トアンCEOによると、2023年は不動産市場が底を脱し、大都市中心部の住宅需要が急増したことで、マンション価格が急騰した。この局面では、多くの投資家がFOMO(機会を逃すことへの恐怖)の心理から、新築マンションを積極的に購入し、割引や優遇策を活用しながら売却益を狙った。
しかし、2024年後半から市場の状況は変化し始めた。地元メディアによると、投資家が購入後数カ月で転売に走るケースが相次ぎ、不動産仲介業者による「値下げ販売」が増加した。
市場価格より20~30%安い価格での売却や、契約価格とほぼ同額での転売が目立つようになり、一部の不動産業者は5000万~1億ドン(約30万8500~61万7000円)の値引きを打ち出しているが買い手がつかない状況が続いている。
オンライン不動産市場でも、売却希望のマンション物件が急増している。Batdongsan.vnのデータによれば、2024年第4四半期のハノイ市のマンション売却広告件数は前期比25%増加した。一方、賃貸物件の検索数は引き続き減少しており、市場の需給バランスが変化していることがうかがえる。
トアンCEOは「価格が高止まりし、投資家の心理も安定化する中で、マンション市場は2024年ほどの投資資金を引き付けるのは難しくなる」と述べている。
2025年のマンション市場は、供給の増加、利回りの低下、投資心理の安定化により、2024年ほどの魅力はなくなると予測される。しかし、都市部の住宅需要は依然として根強く、中長期的には安定した市場成長が期待される。
市場が冷静さを取り戻す中、投資家は短期的な値上がり益を狙うよりも、立地や需要動向を慎重に見極めた長期的な視点での投資戦略が求められることになりそうである。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。