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米国のアルミ・鉄鋼関税引き上げ、ベトナムの輸出に与える影響

2025年02月14日(金)07時00分 公開
米国のアルミ・鉄鋼関税引き上げ、ベトナムの輸出に与える影響

<写真:dantri.com.vn>

 

米国のドナルド・トランプ前大統領は、輸入アルミ・鉄鋼製品に対し25%の関税を課す大統領令に署名した。この決定により、2024年に米国への鉄鋼輸出量が急増したベトナムにとって、今後の輸出環境が変化する可能性がある。

 

米国の関税引き上げの背景と狙いには、国内産業の保護や中国からの迂回輸入の防止がある。ベトナムはここ数年、鉄鋼輸出を急速に拡大させてきたが、今回の措置が競争環境にどのような影響を及ぼすのかが注目される。

 

トランプ前大統領は2018年、鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の関税を導入したが、カナダ、メキシコ、ブラジルなど一部の国には例外措置を適用していた。しかし、今回の決定ではこれらの例外を撤廃し、すべての国からの輸入品に25%の関税を適用する方針を示した。

 

さらに、輸入鉄鋼には「北米で溶解・鋳造されたものに限る」という新たな要件が追加された。これにより、中国製の鉄鋼・アルミ製品が第三国を経由して米国市場に流入することを防ぐ狙いがある。米国政府は、こうした措置によって国内産業を保護し、雇用の創出を促進するとしている。

 

米国は依然として世界最大の鉄鋼輸入国であり、2024年の主要な供給国はカナダ、ブラジル、メキシコ、韓国である。

 

一方、ベトナムの鉄鋼輸出は急成長しており、2024年には対米輸出量が前年比143%増の130万トンに達した。これにより、米国の鉄鋼輸入国ランキングで9位から5位へと急上昇し、市場における存在感を高めている。しかし、新たな関税措置によって今後の輸出が影響を受ける可能性がある。

 

ベトナム商務省のドー・ゴック・フン貿易代表によれば、同国の鉄鋼製品には2018年からすでに25%の関税が適用されており、今回の措置による直接的な追加負担はない。しかし、これまでカナダやメキシコなどの国々が関税免除の恩恵を受けていたため、ベトナムの競争力は相対的に低かった。

 

今回の例外撤廃により、競争条件が均等化し、価格競争のハードルが下がる可能性がある。

 

ただし、米国の輸入制限強化によって世界市場の鉄鋼・アルミの流通が変化し、各国が新たな輸出先を求めることで市場競争が激化する懸念もある。ベトナム鉄鋼協会(VSA)のニエム・スアン・ダー会長は「米国市場だけではなく、他の市場でも競争が厳しくなる可能性がある」と指摘する。

 

また、米国市場への依存度が高まることを避けるため、ベトナムの鉄鋼メーカーは欧州やASEAN市場への輸出を強化する必要がある。2024年の統計によると、ベトナムの鉄鋼輸出の最大市場はEU(全体の23%)、次いでASEAN(26%)であり、米国(13%)は第3位となっている。

 

ベトナム商務省のチャン・タイン・ハイ副局長は「関税政策が変動する中、企業は市場の多様化を進める必要がある」と指摘する。特に、ベトナムはEUやアジア諸国との自由貿易協定(FTA)を活用し、新たな市場開拓を進めることが求められる。

 

また、米国の輸入規制強化に対応するため、原産地証明の透明性を確保し、貿易ルールへの適応を進めることが重要となる。貿易防衛措置に関する調査への適切な対応や、商務省との連携強化が必要となるであろう。

 

今回の関税措置は、米国市場におけるベトナム鉄鋼業界の競争環境を変化させる可能性がある。関税率そのものは既存の水準と変わらないが、これまで関税免除を受けていた国々が同じ条件となることで、競争環境に変化が生じる。

 

ベトナム企業は米国市場の変動に対応しつつ、FTAを活用した新規市場の開拓や貿易ルールの順守を強化することが不可欠である。政府と企業が協力し、長期的な競争力を高めることが求められる。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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