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ホーチミンの観光用電動カート、新規制で運行停止の危機
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<写真:dantri.com.vn>
ホーチミン市をはじめ各地で運行されている観光用電動カートが、2月15日からの新たな規制により運行停止の危機に直面している。
ベトナム政府の新たな法令により、時速30km以下の速度制限が適用される道路のみでの運行が義務付けられるためである。
ホーチミン市で観光用電動カート70台を運行するSaigon PT社は、この新規制を受け、6月までに予約されていたツアーをすべてキャンセルする決定を下した。
政令第165号第24条第2項では、2025年2月15日以降、四輪の電動カートなどの小型車両は「すべての車両に適用される速度制限が時速30km以下の道路」に限り運行が許可されると規定されている。
これにより、最大時速30kmで運行し、最大15人を乗せることが可能な観光用電動カートも対象となる。
観光地や歴史地区での移動手段として広く利用されているが、Saigon PT社がホーチミン市内の道路状況を調査した結果、「すべての車両に対して時速30km以下の制限がある道路」が市内には存在しないことが判明した。
このため、実質的に観光用電動カートの運行は不可能となる。
同社の関係者は「すでに市当局に対して規制の見直しを要請している。ホーチミン市人民委員会もこの問題を認識しており、上級機関に対策を求めている」と述べた。
ホーチミン市では2024年4月12日、運輸局と観光局がSaigon PT社と協力し、電動カートによる観光サービスを開始した。
試験運用期間は2025年末までとされていたが、新規制により事業継続が困難になる可能性がある。
また、ラムドン省ダラット市でも、観光用電動カートを運行する企業が政府に対して緊急要望書を提出した。
運行可能な道路の速度制限を時速30kmから50kmに引き上げることや、地方が運行ルートや範囲を管理することが可能な仕組みの導入が求められている。
観光用電動カートは旅行会社が外国人観光客向けツアーに組み込むことが多い。特にメトロ路線でホーチミン市中心部へ移動した後、電動カートで市内を巡る観光プランは人気が高いという。
また、歴史地区では地元の雰囲気を楽しめる移動手段として評価され、沿岸リゾートでは宿泊施設から観光施設への送迎手段として活用されている。
一方で安全面に関する課題の指摘も多い。タクシーに類似した営業形態をとるが、乗客がシートベルトを着用しないことや車体にドアや保護フレームがないことが問題視されている。
また、交通事故発生時の被害リスクも懸念されるため、多くの地方では電動カートの運行を試験的な段階にとどめている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。