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ベトナムにおける胎児の性別選択、最大1億ドンの罰金

<写真:nhandan.vn>
ベトナム保健省は胎児の性別を選択する行為に対する行政罰の上限額を、現行の3000万ドン(約16万4640円)から最大1億ドン(約54万8800円)に引き上げる方針を示した。
この措置は出生時の男女比に見られる深刻な偏りに対処するため、人口法改正案に盛り込まれており、6月12日まで国民からの意見公募が実施されている。
ベトナムでは近年、出生時の男女比の不均衡が深刻化している。
2024年の全国平均は男児111.4人に対し女児100人となっており、自然な出生比とされる106対100を大きく上回った。
特に北部の紅河デルタ地帯ではこの傾向が顕著であり、バクニン省とヴィンフック省では118.5、ハノイ市では118.1、フンイエン省では116.7と全国平均を上回る。
一方、南部の多くの省では105〜108と比較的自然比に近い水準が保たれている。
保健省は、胎児の性別を目的とした医療介入がこうした偏りの主な要因であると分析しており、現行の罰金では抑止力が不十分であると判断している。
新たに最大1億ドン(約54万8800円)の罰金を科すことで、違反行為の抑制を図る考えである。
さらに、性別比に著しい偏りが見られる地域については、今後定期的に情報を公表する方針を示した。
同省の報告によれば、一部の医療従事者が非公式に胎児の性別を示唆する事例も確認されている。
民間クリニックでは暗号や「父親似」「第一子と違う」といった間接的な表現を用いて性別を伝えるケースがあるという。
保健副大臣のチャン・バン・トゥアン氏は、出生率が低下する一方で男児偏重の傾向が強まっていることに警鐘を鳴らした。
現状が継続すれば、2034年には15〜49歳の男性が150万人過剰となり、2059年にはその数が180万人に達する可能性がある。
政府は2030年までに出生時の男女比を「男児109人:女児100人」以下という自然水準に近い状態へと是正することを目標として掲げている。
これに向けて、女性および女児の社会的地位の向上と、ジェンダーに関する意識の改革を通じて、長期的な人口バランスの回復を図る方針である。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。