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ベトナム産コーヒーの課題、価格と品質における世界との格差

2025年11月07日(金)07時00分 公開
ベトナム産コーヒーの課題、価格と品質における世界との格差

<写真:nongthonviet.com.vn>

 

10月にドバイの高級カフェ「Julith」が、パナマ産の希少品種「Nido 7 Geisha」をオークションで1kgあたり3万ドル(約442万9200円)で20kg落札し、1杯あたり980ドル(約14万4687円)という世界最高価格で提供した。

 

このニュースは世界のコーヒー市場に大きな注目を集めたが、それに対してベトナム産コーヒー豆の最高落札価格は2024年8月時点で1kgあたり120万ドン(約7020円)にとどまっており、価格面での大きな格差が浮き彫りとなっている。

 

この価格差の背景には、品種や栽培環境、そして市場の認識の違いが存在する。

 

コーヒー品質の評価指標として広く用いられているCQI(コーヒー品質協会)のスコアにおいて、ベトナム産アラビカは最高でも85〜86点程度であるのに対し、世界の高級コーヒーは90点以上を記録することが一般的である。

 

栽培地の標高も品質に大きく影響し、ベトナムの主要産地はおよそ標高1500mであるのに対し、エチオピアなどの高品質産地は2000mを超える高地に位置している。

 

この高度の違いが、豆の風味や香りの複雑さに差を生む要因とされている。

 

また、ベトナムは世界最大のロブスタ種コーヒー輸出国として知られているが、同種は長らく「低品質」の代名詞と見なされてきた。

 

しかし近年では「ファイン・ロブスタ」と呼ばれる高品質ロブスタが登場し、花やスパイスの香りを有する商品が開発されるなど、品質向上への取り組みが進められている。

 

ただし、西洋中心の評価基準が依然として存在しており、ロブスタ特有の風味が正当に評価されにくい状況が続いている。

 

市場に根強く残るロブスタに対する偏見が、品質評価と価格の両面での障壁となっている一面もあり、欧米主導の基準では、ベトナム産豆の個性や地域性が認識されにくく、国際市場における地位向上が難しいという課題を抱えている。

 

ベトナムでは歴史的に、フランス植民地時代にアラビカの栽培が始まったが、気候条件が適さなかったため、より丈夫なロブスタが主流となった経緯がある。

 

近年は品質向上を志向する農園が増加しており、業界全体に変革の兆しが見え始めている。

 

加えて、国際的な認証制度にも変化が見られる。

 

CQIが長年運営してきた「Qグレーダー」制度は、2024年10月からSCA(スペシャルティコーヒー協会)に移管され、新たに「CVA(コーヒー評価認証)」という評価体系が導入された。

 

この制度変更が、ファイン・ロブスタの評価に不利な影響を及ぼす可能性もあるという。

 

今後、ベトナムのコーヒー業界が世界市場において高い評価を得るためには、焙煎技術の高度化や人材育成、さらにはブランド構築といったマーケティング戦略の見直しが不可欠である。

 

専門家らは従来の輸出志向型モデルから脱却し、コーヒーの内在的価値を最大限に引き出す取り組みへの転換が求められていると強調している。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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