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日本人訪越者数の減少、今後の観光戦略課題
<写真:tienphong.vn>
ベトナム統計総局の発表によれば、2025年10月における日本人訪越者数は約6万人であり、前月比24%減と2か月連続で減少した。
8月には約9万人を記録していたが、それ以降は右肩下がりの傾向が続いている。
この動きは日本国内でも同様に見られており、日本政府観光局(JNTO)の統計によると、9月の日本人出国者数は約139万人で前月比16%の減少となっている。
こうした訪越者数の減少には、日本の経済状況、旅行志向の変化、そして他国との誘致競争の激化という3つの要因が大きく影響している。
主な背景として、円安が日本人の家計に与える影響が挙げられる。
旅行会社べトラベルの代表者によれば、円安により海外旅行の費用負担感が増し、渡航を控える傾向が強まっているという。
代わりに、日本国内における低価格で季節感のある旅行地への関心が高まっており、特に10月の紅葉シーズンには国内旅行需要が活発化した。
一方で、近隣諸国は日本人観光客の誘致に積極的であり、タイやシンガポールなどは航空会社への支援やマーケティング活動を強化している。
これに対し、ベトナムの観光サービスについては、日本人旅行者に対する情報提供の不足、言語面での障壁、交通の利便性といった点で課題が残っているとの指摘がある。
さらに、日本人旅行者のニーズにも変化が見られる。
近年は、単なる観光地の訪問にとどまらず、より深い文化体験や質の高いサービスを重視する傾向が強まっている。
ハノイやハロン湾といった定番の観光地は引き続き人気があるが、言語対応や接遇に関する不満の声も一部で報告されている。
こうした背景から、観光業界では、日本市場の戦略的な見直しが求められている。
日本人旅行者は「良質なサービスが提供されれば、相応の対価を支払う意思がある」という特性を持っており、満足度の高い体験を提供できるか否かが今後の鍵を握る。
べトラベルの関係者は、日本語による情報発信の強化に加え、航空会社、旅行代理店、さらには日本人インフルエンサーとの連携が不可欠であると指摘している。
また、小規模グループツアー、文化体験型の旅程、高級リゾート滞在型など、多様化する旅行形態への対応が急がれている。
ベトナム観光当局にとって、日本市場の持続的な回復を実現するためには、現状の分析に基づく戦略の再構築が不可欠であり、質と満足度を重視した観光モデルへの転換が急務である。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。