ベトナムでのジカ熱事情|感染経路や予防法について紹介
ベトナムでのジカ熱の事情はどのようなものなのでしょうか?
2015年以降、中南米を中心に、ジカウイルス感染症(ジカ熱)が世界的に流行しています。
ベトナム国内でも感染が確認されているジカ熱ですが、ベトナムで感染を予防するためにはどのように気をつけたら良いのでしょうか?
今回はジカ熱に関する情報や予防方法などについて、ハノイの日系クリニック「さくらクリニック」の監修のもと、解説します。
なお、本稿は以下を参照して執筆しています。
- ジカウイルス感染症について(厚生労働省)
- 渡航時におけるジカウイルス感染症への注意について(厚生労働省検疫所)
- ジカウイルス感染症(ジカ熱)予防のポイント(政府広報オンライン)
- ジカウイルス感染症とは(国立感染症研究所)
ジカ熱とは
ジカウイルス感染症(ジカ熱)は、デング熱およびチクングニア熱と同種の蚊を媒介して発症する感染症です。政府広報オンラインによると、ジカ熱に感染しても症状が現れる人は2割程度にとどまり、症状の多くがデング熱同様の症状だと言われています。
ベトナムでのジカ熱事情
外務省によると、ベトナム国内では2016年4月〜6月にかけて、ジカ熱に感染したとみられる症例が3件報告されています。また、ベトナムから帰国した旅行者が、帰国後に発症したとされる症例も報告されています。
ベトナムは世界保健機関(WHO)によりカテゴリー2(中断なく感染伝播が起きている地域)に指定されているため、年間を通してジカ熱には注意が必要と言えるでしょう。
ジカ熱の症状
ジカ熱が発症するまでの潜伏期間は2〜12日間です。
症状としては軽度の発熱や発疹、結膜炎、筋肉や関節の痛み、頭痛などです。
通常は比較的症状が軽く、特別な治療法は必要とせず発症から2〜7日程度で自然回復します。
ジカ熱から引き起こされる感染症
ジカ熱に感染することで極稀にギラン・バレー症候群を引き起こすことがあります。さらに、妊婦が感染すると生まれてくる子供が小頭症などの障害を持つ可能性があります。ここでは小頭症とギラン・バレー症候群について説明します。
ギラン・バレー症候群
ジカ熱に感染すると稀にギラン・バレー症候群を患うことがあります。ギラン・バレー症候群とは四肢に力が入らなくなり、主に筋肉を動かす運動神経に異常が見られ発症後1〜2週間で全身に広がります。
症状がひどい場合は人工呼吸器が必要になり、死に至る場合もあります。
軽症の場合、自然回復することもありますが、多くのケースでは入院して治療が必要になります。
原因は解明されていませんが、一般的に感染症や医薬品の副作用が原因だとされています。
ジカ熱が確認された地域ではギラン・バレー症候群の患者が増加傾向にあり、WHOによると、ジカウイルスに感染することでギラン・バレー症候群を発症する可能性があるとされています。
小頭症
ジカ熱に感染することで引き起こされる感染症の一つに小頭症があげられます。
小頭症とは生まれてくる赤ちゃんの頭が極端に小さい状態で生まれるか、出生後に頭の成長が止まってしまう疾患です。
小頭症により、癲癇や脳性麻痺、知的障害、難聴などを引き起こす可能性があります。
小頭症そのものに対する治療法は未だ見つかっておらず、これまでの研究からWHOはジカウイルスが小頭症の原因であると結論づけています。
ジカ熱の感染経路
ここではジカ熱に感染する経路について説明します。
蚊による感染
ジカ熱の感染経路として蚊による感染が挙げられます。
ジカウイルスを持った人から血を吸った蚊が他の人を刺すことで感染します。
ジカウイルスを媒介する蚊はデング熱同様に、ヒトスジシマカやネッタイシマカなどのヤブ蚊属の蚊です。
感染を防ぐためには蚊にさされないための予防策が必要となります。
性行為による感染
ジカウイルスに感染したパートナーとの性行為によるジカ熱への感染事例も報告されています。
そのため、性行為を行う際には避妊具を使うことで感染を一定の確率で防ぐことが可能です。
ジカ熱の予防
ジカ熱に対するワクチンや治療薬はないため、対症療法が予防に繋がります。
そのため、蚊に刺されないことや蚊が発生しない環境を作ることが大切です。
蚊に刺されない
ジカ熱は主に蚊を媒介として感染するため、蚊に刺されないことが大切です。
長袖や長ズボンなどを着用し、肌の露出を極力減らすことや、虫除けスプレーなども有効です。
蚊の発生を防ぐ
ジカ熱を予防するには蚊の発生を抑制することも効果的です。
ジカウイルスを媒介するヒトスジシマカは狭い水たまりのような場所を産卵場所として好みます。
そのため、屋外に置かれた植木鉢やバケツ、空き缶など水が貯まる環境を排除し、蚊が育つ環境を断つことで、ジカウイルスの感染拡大を防ぐことが可能です。
まとめ
今回はジカ熱事情や予防法などについて紹介しました。ジカ熱に感染してから重度の症状が発症する確率は低いですが、症状が緩和されない場合は、自己判断ではなく、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
※この記事に記載されている情報は2019年7月のものです。本記事に記載されている情報は予告なしに変更される場合がございますが、ご了承ください。
情報提供:さくらクリニック
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