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バイデン次期大統領の経済政策は親ベトナム、地元紙分析

2020年11月09日(月)12時53分 公開
バイデン次期大統領の経済政策は親ベトナム、地元紙分析

<写真:アメリカ次期大統領に当確と報じられたバイデン氏>

ベトナム時間8日午前、大統領選への勝利が確実なものとなったジョー・バイデン前副大統領が副大統領に就任するカマラ・ハリス上院議員と勝利宣言を行った。

それを受け、各国メディアが次期大統領の分析を行う中、ベトナムメディアもバイデン次期大統領の経済政策がベトナムに与える影響について分析を行った。

 

アメリカのインディアナ大学のダン・ホアン・ハイ・アン教授はバイデン氏ついて、主要な貿易協定を復活し、為替操作に関する政策がトランプ大統領ほど厳しくなくなる可能性が高いと分析した。

 

Anh教授はバイデン氏は自国優先主義のトランプ大統領と異なり、世界貿易を支持する自由貿易主義であることから、輸出が経済でも重要な位置付けにあるベトナムは恩恵を受けることになると予測している。

 

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)についても、バイデン氏は昨年、「従来のままでは再加盟しない。再交渉する。」と発言していた。

環太平洋パートナーシップ協定はオバマ前大統領がまとめたもので、バイデン氏は対中国のためには必要だとの見方を示している。

 

2017年1月、トランプ大統領は環太平洋パートナーシップ協定から離脱するための大統領令に署名していた。

TPP発効のためには、加盟12ヵ国のGDP(国内総生産)の85%以上を占める少なくとも6ヵ国以上が国内手続きを終える必要があり、アメリカが全体のGDPのおよそ60%を占めていたため、発効の目処が立たなくなっていた。

 

ホーチミンを拠点とするインドチャイナ・キャピタル社のマイケル最高執行責任者も、バイデン氏の為替操作に関する政策について、トランプ大統領より厳しいものではなくなるとの見方を示した。

 

マイケル氏はバイデン氏がアメリカの貿易赤字を懸念していることは事実だが、トランプ大統領のようにベトナムを含む各国に対する圧力はかけないと予測している。

トランプ政権のもと、アメリカはベトナムを「為替操作国」に認定することを示唆していた。

 

ベトナムにとってアメリカは最大の貿易相手国だ。今年1月〜10月までの輸出量は前年同時期に比べ24%増加しており、輸出額は620億ドルに到達した。

 

アメリカ財務省はベトナムドン(VND)について、「為替レートに対する政府の行動」の結果、2019年に対ドルで約4.7%意図的に過小評価されていたことを認定していた。

通貨の過小評価はアメリカがベトナムから輸入する車両用タイヤにおいて、不当に補助金を受けたかどうかを商務省が調査する反ダンピング(不当廉売)調査に関連している。

 

「『為替操作』の政治的圧力はトランプ大統領の特徴的な手口であったが、バイデン氏がその路線を引き継ぐ可能性は低い。」とシドニー大学のサルバトーレ・バボンズ教授は分析する。

バボンズ教授はベトナムは通貨の保有と運用についてのデータを多く準備することで、今回のような圧力を防ぐことができるだろうと話した。

フルブライト大学ベトナム校のグェン・スアン・タン氏も、来年は為替操作における圧力が弱まるため、ベトナムのリスクが下がると楽観視している。

厳しい対中政策の維持でベトナムは恩恵を受け続けるのか

親中と言われているバイデン氏の気になる対中政策については、トランプ政権時代の政策が基礎になるとブルーンバーグをはじめ様々なメディアが分析している。

 

タン氏は「政策面では、大統領が民主党か共和党か関係なく、アメリカ政府は中国に対して厳しい政策を取り続けるだろう。」と予測を示した。

 

トランプ政権下で180度変わった対中政策が早期修復される公算は極めて低いと見られており、ベトナムは中国からの生産拠点移管の受け皿としての恩恵を受け続ける可能性が高い。

しかし、中国からの生産拠点移管の受け皿となっている東南アジアの国はベトナムだけではない。

タイをはじめインドネシア、フィリピン、マレーシアなど東南アジア諸国は海外直接投資を誘致するため競争を強めている。

 

バイデン新政権が株式市場に与える影響はトランプ政権ほど大きくないと予想されている。

ホーチミン市経済大学ファイナンススクールのグェン・クォック・バオ学長はベトナムの株式市場は一時的に下落するが、長期的に見れば安定するだろうと予測した。

ベトナム人からは反中路線を掲げるトランプ大統領への人気が強く、多くのベトナム人がトランプ大統領の再選を望んでいた。

 

 

 

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