国家破綻したスリランカ、在住ベトナム人が多くの苦労に直面

2022年07月29日(金)14時33分 公開
国家破綻したスリランカ、在住ベトナム人が多くの苦労に直面

〈写真:VnExpress〉

 

深刻な経済危機に瀕しているスリランカに住むベトナム人は、食料や燃料の調達困難に陥り多くの苦労に直面している。

 

首都コロンボ郊外で家族と暮らすチャウさんは、3カ月近く前から自家菜園と買いだめした食料品を頼りに生き延びている。

 

彼女はトマトやオクラなどの野菜を栽培し、備蓄した米25〜30kg、いくつかの豆、小麦粉、干物などで食をつなぐ。

 

「新鮮な食料を買えるのは金持ちだけ。収入がないのに子どもの学費、電気代、水道代、食費を払わなければならないので、とてもストレスが溜まる、気が滅入る」と語る。

 

チャウさんは4年前、スリランカ人の夫と一緒に同国に移住してファストフード店の経営をはじめたが、材料不足のため閉店せざるを得なくなった。

 

ロイター通信によると、スリランカでは3月以降、大統領に対する大規模な抗議デモが激化し治安が悪化している。

 

5月には史上初である債務不履行を発表しており、ニュースワイヤーAPによると、同国の対外債務総額は510億ドル(​​約6兆7912億3650万円)である。

 

同国のゴタバヤ・ラージャパクサ大統領は経済破綻を理由に更迭され、今月初めにシンガポールに逃亡した。

 

この経済危機により同国民2200万人が医薬品や燃料、食料などの必需品入手が困難な状況となっている。

 

中流家庭であったチャウさんは、収入が途絶えたことにより貧困に陥っている。

 

チャウさんは、「以前は経営するお店から日々の収入があったため、それほど貧しくはなかった。今は生活するのに必死で、食べるものも満足に得られていない」と話す。

 

ジャガイモは以前は1キロ100ルピー(約37円)程度であったが、今では250〜300ルピー(約91〜110円)に値上がりしている。

 

また、病気を患えば薬もなく、救急車のための燃料も十分ではないため、大変な事態に陥るという。

 

AP通信によると、スリランカは食料や燃料、医薬品などの基本的な輸入品を購入するための資金が不足しており、ここ数十年の公衆衛生における改善を台無しにする恐れがある。

 

チャウさんによると、数カ月前までは自動車やオートリキシャが街中での一般的な移動手段であったが、現在は燃料不足によって歩く人々しか見かけられなくなった。

 

燃料調達のために6日間並んだとしても3リットルのガソリンしか購入できず、食料品を入手するためには、どれほど遠くても歩くか自転車に乗るしかない。

 

コロンボのベトナム大使館の職員であるトゥエンさんによると、ガソリンスタンドの前には昼夜を問わず燃料を買うために人が並んでおり、購入する順番が訪れるまで車の中で寝泊まりして待っているという。

 

同国のカンチャナ・ウィジェセケラ・エネルギー相は25日のツイートで、「為替の問題で、今後12カ月は燃料の輸入を制限せざるを得ない」と述べている。

 

トゥエンさんは大使館員としての特権のおかげで、生活に大きな影響はないという。

 

しかし、チャウさんと同様にベトナム人建設作業員のナムさんの生活は一転した。

 

ナムさんが借りているアパートには21人が一緒に住んでいる。停電が頻繁に起こっており、電気が復旧するまでの間は暑さを避けるため、屋上で生活しているという。

 

ナムさんをはじめとして多くの外国人は、治安が悪化しており暴動や強盗が頻発しているため、自由に外出することができない。

 

街中には治安と秩序の維持を目的として、多くの警察や軍人が銃を持って立っている。

 

AP通信によると22日、ラニル・ウィクレミンゲ氏がスリランカの新大統領に就任した。

 

新政府は、危機を緩和するための政策を進めており、26日にはウィジェセケラ・エネルギー相がTwitterで、燃料不足を解消するために、石油製品の輸入、流通、販売を行う石油会社からの出資を募っていることを明らかにした。

 

同国市場の約80%を支配する国営セイロン石油公社は、新規参入者に資源とポンプのシェアを提供する予定である。

 

ロイターの報道によると、コロンボは最大30億ドル(約3995億円)相当の救済措置について国際通貨基金と協議しており、隣国のインドや中国といった同盟国からの援助を求めている。

 

しかし、スリランカの将来は依然として予断を許さない状態である。

 

ベトナムのホー・ティ・タイン・チュック大使によると、かつてスリランカには約300人のベトナム人がいたが、危機が始まってから多くのベトナム人が帰国した。

 

ベトナム外務省は大使館に対して、ベトナム人コミュニティと連絡を取り続けるよう指示を出している。

 

現在、多くの人が国外への脱出の道を探っており、ベトナムへの帰国を切望しているベトナム人もいる。

 

ナムさんは今後数カ月の様子を見て状況が変わらないか悪化するようであれば、会社に対してベトナムへの帰国を要望するという。

 

チャウさんは「できることであればベトナムに帰りたいが帰る余裕がない。ベトナム大使館からは可能な限り協力するとの連絡があった。スリランカに残っているベトナム人同士で何とか助け合って生きている」と話す。

 

 

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