増加する失業者と高利貸、労働者の苦しい生活

2022年12月27日(火)14時24分 公開
増加する失業者と高利貸、労働者の苦しい生活

<写真:VnExpress>

 

2022年後半には多くの労働者が、世界的な不況の影響による受注減で職を失って無一文になり、高利貸しの格好の餌食となってしまっている。

 

ホーチミン市7区在住のフイさん(40)は、受注激減の影響によって10月に一時解雇され、彼の妻は労働時間短縮によって月収が500万ドン(約2万8150円)以下になった。

 

毎年の旧正月には賞与で子どもたちに新しい服を買い、故郷に帰省することが恒例になっていたが、今年は賞与もなければ貯蓄もないため、どちらも不可能である。

 

数ヶ月前までは友人に借金を頼むこともできたが、年末年始が近付くにつれて多くの家庭が資金繰りに窮するようになってしまった。

 

先週、フイさんは急に家族が田舎を訪れるための費用1000万ドン(約5万6310円)が必要になり、数日前に路上で見知らぬ男から受け取った「クイック・ローン・サービス」のチラシに書かれた電話番号に連絡をした。

 

電話に出た人物からは政府発行の身分証明書のコピーを渡せば1000万〜1500万ドン(約5万6310〜8万4460円)を即座に貸すと告げられた。

 

しかし、チラシには年利20%の融資と書かれていたが、フイさんは安定した収入や健康保険証、電気代未滞納を証明する領収書、ホーチミン市への在住証明を持ち合わせていないため、年60%の利息を払わなければならないという。

 

ホーチミン市12区で下宿を経営するグエン・タイン・タムさんは「闇金業者から金を借りたら、逃げ場がなくなる」と地元の人に警告する。

 

10年前に下宿していたAさんが高利貸しから1300万ドン(約7万3200円)を借りたというが、Aさんは現在でも利息だけで毎月250万ドン(約1万4080円)を支払っている。

 

銀行からお金を借りるためには雇用契約書と過去3カ月以上給与が支払われていることを証明する書類を提出しなければならなず、フイさんのように失業や一時帰休を余儀なくされた人々が絶望的で無力な状況に陥っている。

 

ホーチミン市労働組合によると、同市内では不況による工場の受注減で労働者10万8000人以上が労働時間短縮や失業に直面している。また、ベトナム労働総連合(VGCL)は注文不足が28省・市の労働者63万人以上に影響を与えたことを明らかにした。

 

労働組合研究所が11月に労働者6200人以上を対象に行った調査では、約59%の労働者が1ドン(約0.006円)も貯蓄していないことが判明している。

 

また、仕事を失った場合には11.7%が「1カ月未満」、16.7%が「1カ月〜3カ月」、12.7%が「3カ月以上」生活ができるとし、約38%が「借金がある」と回答し、そのうち14%は「返済が間に合うかどうか不明」と回答した。

 

社会生活研究所が同様の調査でホーチミン市の労働者400人を調査したところ、約60%の労働者は貯蓄が皆無であり、約25%が高利貸から借金をせざるを得ない状況であることが明らかになっている。

 

同研究所のグエン・ドゥック・ロック所長によると、収入証明書がない場合には銀行から借り入れることが非常に難しいが、闇金融であれば電話1本でお金が振り込まれるほどに容易である。

 

しかし、ベトナムの闇金融の金利は月90%〜1000%になることもあるという。また、高利貸業者は借金を回収するために手段を選ばず、脅迫や心理的テロ、労働者がATMを使用した際に強奪するといった犯罪行為が行われることも普通である。

 

公安省によると、同省は過去3年間で約5000人が関与した2740件の高利貸し事件を扱っており、約4000人の被告人を含む約2000件を起訴している。

 

こうした状況を受け、ベトナム国家銀行とベトナム労働総連合は労働者が高金利の融資を受けないようにするため、20兆ドン(約1126億1657万円)相当の労働者向け信用パッケージを設定した。

 

労働者はこのパッケージによって7000万ドン(約39万4160円)までなら低金利で借りることが可能である。

 

しかし、早急にお金が必要な労働者にとっては依然として「闇金融」しか選択の余地がなく、状況の改善が困難であるという。

 

 

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