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ワークライフバランスを求めるハイスペック層が増加
<写真:VnExpress>
ベトナムでも次第に「ワークライフバランス」の考え方が浸透し始めており、昨年実施された調査では7割以上の労働者が「最も重要な要素はワークライフバランスである」と回答したことが明らかになった。
ホーチミン市在住のトゥイさん(32)は2年前、教育関係の新興企業で部門長に昇進して月5000万ドン(約28万5870円)の報酬を得ていたが、昨年末にワークライフバランスが取れないことを理由に退職した。
部長職への昇進でトゥイさんの収入は2倍になったが、プレッシャーは10倍であったという。
また、バクニン省在住のトンさん(35)は銀行で副部長として月給8000万ドン(約45万7400円)を得ていたが、周囲の反対を押し切って退職し、現在は農業に従事している。
2人は平均的なベトナム人労働者が得る給与の6倍〜10倍を得る管理職で、多くの人の目には成功者と映っていた。
ベトナムワークスが2022年に管理職以上を対象に行った転職市場調査では、給与やボーナスといった要素が差別化要因とならなくなった場合、回答者の34%が転職や退職の主な理由を「職場環境や社風」としている。
人材コンサルティング会社アンファーべが2022年9月に行った調査でも同様の結果であった。
中堅管理職が最もプレッシャーを感じ、ワークライフバランスの乱れに繋がっているという。
トンさんは自身の収入に満足はしていたが、日中はオフィスで働いて夜間は酒席で顧客の接待と、全ての時間を仕事に費やしていた。
また、非常に厳しい職場環境は自身を表現する機会も少なく、かつて同僚であった部下に対するプレッシャー等からトンさんは職場で孤立していった。
日々を退屈に感じ、ロボットのような気分になり、スーパーに通うようにクリニックへ通院するようになったという。
国家革新新興企業諮問委員会のチュン・タイン・フン副会長によると、現代社会では高い給料は幸福のために必要な要素であるが、物質的要素と精神的要素のバランスに依存するため、唯一の要素とはなり得ない。
人材ソリューション企業グローブHRと英国データ分析会社YouGovによる2022年の調査によると、ベトナム人求職者の73%が「最も重要な要素はワークライフバランスである」と回答している。
同調査における回答者のうち71%は18歳〜34歳で、70%が都市部在住者であった。
SocialLifeの調査でも同様の結果が得られており、高収入は専門的な能力開発の機会や仕事の安定性、個人の興味との適合性、創造的な空間、昇進の機会、社会に対する会社の責任などに次いで7番目に重要な要素に過ぎないことが明らかになっている。
SocialLifeのグエン・ドゥック・ロック代表によると、人々には金融や学術文化、社会、象徴資本といった幸福達成のための様々な基盤があり、ビジネス環境にある人は金融を重視し、豊富な資本が幸福に繋がる場合もあれば、社会を重視する人は資本よりも人間関係の構築が幸福に繋がる場合もある。
National Innovation Startup Advisory Councilのフン氏は「欲が人生のバランスを崩す一番の原因である。人々はそれを理解する必要がある」と指摘する。
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