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ベトナムの結婚事情、前世代と若者世代の大きなギャップ
<写真:VnExpress>
ベトナムでは平均結婚年齢や未婚率が年々と上昇しており、子供の婚姻に関して焦燥に駆られた親が四方八方手を尽くして、中には儀式に数千万ドンを費やし、嘘をついてまで結婚を迫る親がいるという。
北部ニンビン省在住のホアさん(55)は、息子フックさん(33)と娘ハンさん(28)が未婚であることに焦りを感じ、自分の手で子供たちのパートナーを発見するために、あらゆる巧妙な方法と創造的な方法を試し始めた。
ホアさんによると、フックさんは安定した仕事に就いて収入もあり、家も車も買ったが、恋愛はイマイチであった。また、ハンさんも美人であるが、独身男性を家に連れてきて家族に会わせたことはない。
ホアさんは何度も寺に行っては仏様に「子供たちが良い相手に巡り会えるように」とお祈りをし、子供たちには帰省の度に結婚を促しているが何も変化はなかった。
ハノイ応用心理学教育研究センターのラ・リン・ガー所長によると、ベトナムでは多くの親が「結婚適齢期」を迎えても独身でいる子供に不安と焦りを感じている。また、「親が子供に結婚を勧めることは自然なことである」と考えている人が多く、子供の結婚を心配しすぎる傾向にある。
焦ったホアさんは米と塩を撒き、絵馬を燃やすという儀式を実施し、子供たちの不運を追い払うとともに愛を引き寄せるといい、フックさんとハンさんはホアさんを喜ばせるために儀式に従ったという。
ハノイ市在住のトゥイさん(30)も母親のビック・ハンさん(50)から毎日の様に「恋人がまだいないのか」と聞かれ、大きなストレスを受けている。
トゥイさんがテト(旧正月)に帰省予定の連絡をした際には、「誰も連れて帰れないのなら、来なくていい」という冷たい返信があったという。
ビック・ハンさんはホアさんと同様に子供の結婚のためとして儀式を行っており、寺で計8000万ドン(約45万円)も費やしている。また、テト明けにはトゥイさんに数千万ドンも掛かる別の儀式を準備していたという。
ハノイ市在住のトゥーさん(60)もオランダ在住の娘ハーさん(30)に結婚相手をあてがうことに必死であり、儀式だけではなく、娘と同世代の男性に会う度に電話番号やソーシャルメディアを聞き出し、娘に連絡を取るように要求している。
また、トゥーさんはハーさんに結婚相手を見つけるために、出会い系サイトや結婚相談所に登録しており、ハーさんには「行き遅れになる」と話しているという。
昨年にトゥーさんはハーさんを友人の甥と引き合わせることを計画し、体調が悪いと嘘を付いてハーさんをオランダからベトナムへ帰国させた。帰国したハーさんは元気な母親と紹介された男性を見て唖然としたという。
こうした母親たちの考え方や行動はベトナムの結婚文化に関する、大きな世代間ギャップを反映している。
前世代は24歳までに結婚することが通常であったが、現世代の若いベトナム人は結婚が遅く、結婚前に自己啓発やキャリア形成に時間を費やすことを優先する傾向がある。
2020年に統計総局が行った人口変動と家族計画に関する調査によると、ベトナムの平均結婚年齢は年々上昇しており、1989年の23.8歳から2020年には25.7歳になっている。
ベトナム人男性は1989年には平均24.4歳で結婚していたが、2020年には平均27.9歳に跳ね上がっており、ホーチミン市のような大都市では30歳前後で推移しているところもある。
また、ベトナムの未婚者割合も2004年の6.2%から2019年には10.1%と急増している。
心理学者達は前世代の親に対して、「心配して結婚を促しても何の解決にもならない」「子供たちの人生に大きなストレスを与える」として警告する。
実際にトゥイさんは母親の絶え間ないプレッシャーが居心地悪いとして数ヶ月に1度しか実家に帰らないといい、テトで帰省しても食事も抜いて部屋から出ないという。
ハーさんも母親が大きな嘘を付いた後からは「母を愛しているが、私のことを理解してくれない。意見や考え方が余りにも違う」として、大きく距離を置くようになっている。
心理学者のグエン・ティ・タム氏によると、親は子供に結婚を勧めるのではなく、人生における結婚の重要性をじっくりと話し合うべきである。
心理学的発達のピラミッドによると、大人になる期間は18歳〜35歳までとされており、この時期の最も重要な特徴は異性との親密な関係を築き、キャリアを積むことであるという。
タム氏は「自分の人生をどうするかは子供自身が決められるということを忘れてはならない。親は子供の決断に干渉すべきではなく、その権利もない」と呼び掛けている。
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