ベトナムでは手頃な保育園が不足、低所得層の親が窮地に
<写真:VnExpress>
ベトナムでは公立保育園の不足やキャパシティ不足によって子どもを預けることが難しい状況にあり、低所得世帯が窮地に立たされている。
ハノイ市の郊外に住むヌンさん(31)は、半年間の育児休暇を終えて職場復帰を目指しているが、「子どもの保育園が見つからない」という課題に直面している。
家の付近に公立保育園が2園あるが、どちらも2歳以上の子どもしか受け入れていない。
ヌンさんが働いていた頃の月給は420万ドン(約2万3400円)で、夫の月給は600万ドン(約3万3400円)程度、家賃や生活費を考えれば費用が高額な私立保育園は選択肢に入らない。
ヌンさんには小学1年生の子どもがもう1人いるが、故郷の親戚に預けている。
労働者・労働組合研究所によると、ヌンさんが居住する地域の平均的な世帯収入は月740万ドン(約4万1200円)で、同地域の大半の共働き家庭が幼い子どもの保育に苦労しているという。
仕事を諦めて家にいることを余儀なくされる人もいれば、新生児を無作為の民間保育所に預ける人もいる。
民間保育所は無許可であることも多く、度々発生する児童虐待のリスクも拭いきれない。
ハノイ市のような大都市では、手頃な価格の保育サービスに対する需要が供給をはるかに上回っており、公立保育園では受け入れのために抽選が行われるほどである。
抽選に外れたために公立保育園を諦める保護者も多く、統計総局によると、ハノイ市には2020-21学年に52万6000人の就学前児童がいるが、そのうち70%しか公立保育園に通うことができていない。
ベトナム政府は2008年以降に公立保育園に対し、生後3カ月から受け入れるように要請しているが、キャパシティ不足によってダナン市やホーチミン市の一部地域以外では規則が遵守されていない状態である。
大半の地域では1歳以上を受け入れているが、ハノイ市では2歳〜3歳以上とする保育園もあるという。
ベトナムは教育・訓練に重点を置いており、昨年は276兆ドン(約1兆5372億円)の予算を計上しているが、教育への投資が人口増加の需要に応えるには不十分であった。
ハノイ市では最近、要件不足で2回の罰金と閉鎖命令を受けたことがある私立保育園で、保育士2人が生後17カ月の男児を繰り返し殴って殺害する事件が発生し、1月にはホーチミン市でも自宅で保育所を経営していたベビーシッターが生後6カ月の赤子を死亡させる事件が発生している。
ハノイ女性知識人協会のブイ・ティ・アン会長によると、同国は教育への投資を急ぐ必要があり、特に低所得世帯の6カ月以降の子どもを受け入れる公立保育園への投資が児童虐待を防ぐためにも急務である。
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