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ベトナムの繊維・衣料品輸出、第1四半期は2009年以来の不振
<写真:VnExpress>
ベトナム統計総局(GSO)によると、2023年第1四半期の繊維・衣料品輸出額は前年同期比17%減の71億ドル(約9470億2640万円)となり、2009年以来で最も深い減少幅を記録した。
世界的なインフレの影響で消費者が不要不急の商品への支出を引き締め、米国やEUといった主要市場への繊維・衣料品輸出が急減したことが原因となっている。
ベトナムでは2022年第4四半期以降に衣料品や繊維企業の輸出受注が不足し、工場の稼働状況は生産能力を下回る状態にある。
2023年第2四半期と第3四半期の輸出受注は依然として縮小しており、一部企業では引き続き労働者の労働時間を短縮している。
縫製大手「第10縫製」のタン・ドゥック・ベト社長によると、2023年の繊維・衣料品需要の減少は、インフレやパンデミック、ロシアとウクライナの地政学的緊張の影響によるものであり、金融市場の不安定さや銀行危機への懸念も需要に影響を与えている。
同社の輸出は2023年第1四半期に前年同期比で10%減少する見込みである。また、第2四半期の生産量は20〜30%の減少が予測されており、第3四半期の新規注文は未だ受けていないという。
大手衣料品会社「ベトタンジーン(Viet Thang Jean)」も工場の生産能力を減らし、受注不足によって高級品の生産ラインを一時的に閉鎖している。
同社会長兼ホーチミン市衣料品・刺繍・ニット協会副会長のファム・ヴァン・ベト氏によると、日本や欧米では購買力が回復しておらず、ベトナム国内市場も2月に約20~30%減少した。
同氏の予測では、2023年前半の繊維・衣料品業界の見通しは依然として暗いが、第3四半期以降は投入資材の価格が低下して企業への圧力が軽減され、市場が徐々に回復する可能性がある。
しかし、ロシア・ウクライナ紛争が沈静化していないため、全ての予測は不明確なものとなっている。
このような状況の中、衣料品・繊維企業は市場が回復するまでの間に生産を維持し、労働者を確保するために、企業や市場、製品の再編といった多くの解決策を実施する必要がある。
ベトタンジーン社は米国やEUといった従来市場の他に、オーストラリアやカナダへの輸出を増やすと同時に、従来市場への輸出減少を補完するために国内消費の増加を図っている。
また、第10縫製では事業と持続可能な開発戦略の再構築を実施しており、顧客要求に応えるために製品の位置付けや市場、経営、技術、生産モデルなどの見直しも必要な状況である。
同社は景気後退の中で顧客ニーズを満たす商品を国内市場で模索し、輸出は欧米や日本といった従来市場以外の新市場を求めている。
ベトナムが締結した15の自由貿易協定(FTA)が新たな輸出市場拡大に向けて多くの機会をもたらすため、アフリカや中東、中国が将来的に巨大な市場になる可能性が高いという。
第10縫製のベト氏によると、現在はグリーンプロダクションに関連した持続可能な発展の時期でもあり、世界はグリーン成長を奨励し、ベトナムは第26回気候変動枠組条約締約国会議で二酸化炭素排出量の削減を約束している。
そのため、第10縫製ではグリーン素材とグリーンエネルギーの使用に切り替えており、グリーン製品の比率を高めることで、将来的に生産と輸出を促進する多くの機会獲得が予測されているという。
ベトナム繊維協会(Vitas)のブー・ドゥク・ザン会長によると、2022年の繊維・衣料品輸出額は前年同期比8.5%増の422億ドル(約5兆6293億円)以上であった。
しかし、この数字は上半期の輸出増加によるものであり、2022年第3四半期からは中国のゼロコロナ政策と世界的な景気後退によって減少した。
繊維・衣料品業界は2022年後半から悪化し続けており、2023年第1四半期まで同様の状況が継続している。
同会長によると、2023年の衣料品・繊維業界は依然として多くの問題を抱えており、最も大きな問題はレイオフの増加や大都市からの労働力の移動傾向である。
海外市場ではリサイクル製品やオペレーションの透明性などが求められているが、国内の中小企業にとっては早急な対応は困難であり、課題となっている。
現状で最も重要な解決策は国内で生産される市場や製品、ブランドを多様化することであるという。
また、企業はより多くのグリーン製品やリサイクル製品を採用し、海外市場の要求を満たすため、インフラ投資計画や綿密な戦略を立てる必要がある。
衣料品・繊維企業は迅速な納期や競争力のある価格、安定した品質、製品の透明性といった市場の速い変化に対応するための戦略が必要であり、世界の繊維産業の課題と機会、デジタル技術の動向、新しい政策の把握に向け、コネクションを構築しなければならない。
同会長の予測では、糸や織物、染色、縫製といった生産チェーンを持つ大規模企業が生き残る一方で、加工に特化した企業は大きな課題に直面する可能性が高い。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。