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北部の絶望的な電力不足、様々な原因と実態
<写真:VnExpress>
ベトナム北部では多くの地域で停電によって企業が生産を中断せざるを得なくなり、首都ハノイ市でも街灯が節電として消灯され、一部地域では負荷遮断として突発的な停電が発生し、人々の生活や社会経済状況に深刻な影響が発生している。
ベトナム電力総公社(EVN)は4月に「今年の夏は北部で1600〜4900MWに相当する電力不足が発生する可能性がある」と警告していたが、実際に電力の供給が需要に追いつかない状態となった。
商工省電力規制庁のチャン・ベト・ホア長官は7日、輸入を含めた北部地域の稼働率が設備容量の59.2%にあたる1万7500〜1万7900MW相当しかないが、需要は既に2万MWを超えており、暑い気候によって今後は需要が2万3500〜2万4000MWまで増加する可能性があることを発表した。
商工省とEVNによると、電力不足の主な原因は猛暑による電力消費の急増であり、5月の国内平均電力需要は前月比20%以上増の1日約8億2000万kWhに達している。
6月初旬から多くの地域で定期的に停電が発生しているハノイ市では、先月から今月初めに掛けて電力消費が急増しており、ハノイ市電力公社によると、5月の平均消費量は前月比22.5%増の7540万kWh、6月4日時点では約8850万kWhに達した。
北部の電力は主に水力発電所と火力発電所から供給されているが、5月時点に供給量の43%を占めていた水力発電は、異常気象によって大規模な貯水池が枯渇したため、生産量が激減した状態にある。
水力発電の平均生産量は昨年から半減し、総供給量の12〜15%に留まっており、5月22日のピーク時3億1360万kWhを基準にすると、4日分の消費に相当する12億3000万kWhの発電量しかない。
6月3日時点でライチャウ、フアナ、タックバー、ソンラ、トゥエンクアンの各水力発電ダムは0.4~0.9日分の発電に必要な水量しかなく、ベトナム最大の発電所であるライチャウとソンラではダムの水が限界レベルを下回り、操業上の大きなリスクとなっている。
現在は合計11の発電所が停止し、5000MWの電力供給が停止した状態にある。また、北部の電力供給の48%を占める石炭火力発電所の一部が能力低下やトラブルを起こしていることも電力不足の原因となっている。
6月1日時点でファライ第1・第2、カムファ、ブンアン第1、ギソン第2、マオケ、クアンニン、タンロン、ソンドンの発電所9基が炎天下での長時間連続運転後に不具合が発生し、9基の合計容量が約4200MW減少した状態にある。
また、現在の電力不足は猛暑による原因だけではなく、長年にわたって電力不足が予想されていたが、北部では新しい発電所が増設されなかったことにも起因している。
ベトナム北部は国内で最も需要の伸びが大きい地域であり、2016~2020年の年率9.3%は約6000MWに上乗せされているが、同期間の発電量年間成長率は4.7%で4600MWしかない。
商工省の「第8次国家電力開発基本計画」に関する政府への報告書によると、ナズオン第1、ハイフォン第3、カムファ第3といった北部の大規模発電所の建設がプロジェクトの策定、投資家の選定、資本調達、用地確保などの問題から遅延しており、2025年まで電力不足が継続する恐れがある。
「第7次国家電力開発基本計画」では電力網の運用が多くの困難に直面し、送電容量の問題も北部の電力供給をより圧迫していることが明らかになっている。ベトナム北部では大半の送電プロジェクトが、主に補償と整地に関する問題のために、予定より1〜2年遅れた状態にある。
ベトナムは自然エネルギーを含む国内電源の最大限活用に加え、中国やラオスから1日あたり1000万〜1200万kWhを購入しているが、北部1日の需要量4億4500万〜4億5000万kWhのうち輸入が占める割合はわずか2.7%となっている。
同省とEVNは暑い季節における節電を呼び掛けているが、あくまでも短期的な解決策にしかならない。専門家によると、ベトナムは発電と送電網のプロジェクト作業を加速させることが急務である。
また、電力計画では2030年までに送電網に接続されない屋上太陽光発電2600MWの設置を目標としている。北部では乾季を中心に年間約1000時間の太陽光発電を行うことが可能である。
長期的な解決策を待つ間に多くの企業はピーク時からオフピーク時、更には夜間に生産をシフトするといった計画の調整を余儀なくされており、ハノイ市ザーラム郡にあるAdditives and Petroleum社のホアン・チュン・ズン代表は、工業生産のための電力をカットするのは合理的な解決策ではないと指摘している。
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