ベトナムの保護林破壊:ミミズハンターによる闇輸出とその影響

<写真:VnExpress>
ベトナムではミミズハンターが中国への闇輸出市場に供給するために、ベトナム中北部の保護林を荒廃させているが、地元当局は何の救済措置も講じていない。
タインホア省のバートゥオク(Ba Thuoc)郡にあるトゥンチャン(Thung Chan)保護林は、ベトナム戦争で同省が絨毯爆撃を受けて以来、戦場のような様相を示している。ハンターの集団は保護された土地に侵入し、森を荒らし、木を伐採し、植物を引き抜いており、かつて樹木が生い茂っていた一帯が今では丸裸の状態である。
ハンターたちは地面に電極を差し込み、ミミズを捕獲しやすくするための電気ショックを与える。通常、ハンターたちは湿度の高い土壌と水源の近くを選び、適切な場所を見つけたらバッテリーに接続された鋭利な鉄の棒を地面に打ち込み電流を流す。するとミミズが感電死から逃れるために土の中から身をよじらせて出てくる。
ハンターによると、平均して1日に約10kgのミミズを捕まえ、1kgあたり3万5000ドン(約210円)で売ることが可能である。あるハンターは「この仕事をするのはそれほど難しくなく、給料もそこそこなので、もう数ヶ月続けている」と語る。
同保護林には毎日30人ものハンターがミミズ狩りに集まる。道具を設置するための明確なスペースが必要なため、植物や小木を伐採し、かつては美しかった風景に何百もの枯れた切り株や倒木が残されている。
ミミズを捕獲した後、ハンターらはミミズを乾燥させ、中国に不法輸出する業者に売る施設にミミズを売る。
バートゥオク郡にあるミミズ施設オーナーのランさんは、以前は北部フート省やフンイエン省のハンターからミミズを買っていたという。ランさんがタインホア省に引っ越してきたのはつい最近のことで、ミミズ加工施設を建てることだけが目的であった。
ランさんによると、10~13kgの新鮮なミミズから1kgの乾燥ミミズが加工可能で、ランさんの施設では1日平均2.5~3tの乾燥ミミズを生産し、ミミズの大きさによって1kgあたり64万~86万ドン(約3880〜5210円)で販売している。
環境保護活動家たちは先月、ミミズを求めて森を荒らす人々が増えていることに懸念を示した。この現象は新たな「ミミズ・ラッシュ」の一環とされ、ミミズで一儲けしに来る北からの移住者が増え続けているという。
北部ホアビン省とソンラ省、トゥエンクアン省、バクザン省の農場主は、地面に電気ショックを与え、ミミズを捕るために不法に土地を侵害する人が増えていると報告した。
2022年6月に発表されたサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙の報道では、ミミズは乾燥した状態で「乾土龍」と呼ばれ、中国では伝統医学に用いられている。中国自身も「土壌中のミミズの感電死が激増し、絶滅レベルの生態系災害」に直面しているという。
ベトナムでは現在、感電によるミミズの捕獲を禁止する規則はない。
タインホア省農業農村開発局のヴー・クアン・チュン氏は、ミミズを捕まえるために電気ショックを使用することは、環境や土地の質に深刻な影響を与え、生態系の不均衡を引き起こすと述べている。しかし、農業部門の当局にはこの状況を止める十分な機能がない。
保護林のあるディエントゥオン(Dien Thuong)コミューンのハー・ヴァン・ゴック副委員長は「地元当局にできることは、人々にこの行為をやめるよう呼びかけることだけである」と述べている。地元の農業当局にはハンターを取り締まったり罰金を科したりする権限がないため、捕まっても罰せられない。
現在、土地利用分野における行政違反に関する政府の政令91号は、土地破壊行為を規制上の不正行為としているが、ミミズを捕獲するために土壌に電気を流す者をどう扱うかについての具体的な指針はない。
そのため、この問題に対処する1つの方法として、処理施設の規制が有効である。
バートゥオク郡警察局の副局長であるチュオン・スアン・フン大佐によると、同郡には現在16のミミズ加工施設が存在する。同警察はそのうちの13施設を検査し、営業許可証がないとして営業停止処分にしており、今後はすべて閉鎖する方向で動いているという。
ベトナム国立農業大学講師のドー・キム・チョン教授によると、電流を地面に流すことはミミズに影響を与えるだけではなく、健全な土壌環境に必要な他の多くの微生物にもダメージを与える。
土壌1gあたり最大600万匹の微生物が生息しており、微生物の数が多いほど土壌の生産性は高くなる。特にミミズは土壌をほぐす働きがあり、土壌養分の代謝の重要なリンクとして働き、有益な有機物質を生成する条件を整え、植物の健全な成長を助けるため、地元の農家では「生物学的鋤」と呼ばれている。
ミミズや微生物の死は、土壌の肥沃度を再生する能力を低下させ、土壌を貧弱にし、最終的には植物が影響を受け、枯死することさえある。
同教授は「当局はこの行為を厳しく禁止すべきであり、環境を破壊する犯罪として考えるべきである」と提案している。
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