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破損紙幣の取引で儲ける? フランスの植民地時代から続くビジネス
<写真:VnExpress>
ホーチミン市在住のチュオン・ティ・キム・ロアンさん(60)は、角が焼けただれた10万ドン(約600円)札を売りたいという男に声を掛けられ、紙幣を手に取って状態を確認し、通し番号を確認した後、6万ドン(約360円)での購入を提案した。
取引が成立すると、ロアンさんは破損した紙幣を集めた他の破損紙幣と一緒に小さな袋に収めた。ロアンさんがこの仕事を始めたのは20年以上前で、高齢になった父親の後を継いで破損紙幣の収集を始めたという。
ロアンさんは毎日、バイクで近所を回り、破損した紙幣を売りたい人を探している。飲食店の多い集合住宅は宝の山で、店主やレジ係が破損紙幣を受け取ることや、紙幣が厨房の熱で損傷することも多いという。
ロアンさんは毎週100万~150万ドン(約6000〜9000円)の破損紙幣を回収しており、十分な量がたまると銀行で新札と交換し、その差額で利益を得ている。多くの人は破損した紙幣がまだ法定通貨として有効であることを知らないため、ロアンさんはこの知識の欠如を利用して、破損紙幣の取引を行っている。
取引業者は通常、30%以下の損傷しかない紙幣を購入し、破損の程度に応じて価格を決定する。ロアンさんの場合、レートは一貫しており、例えば20万ドン(約1200円)の紙幣には12万ドン(約720円)を支払う。
ベトナムの破損紙幣の取引は少なくともフランスの植民地時代から存在している。2000年代には破損紙幣の取引が最盛期を迎えたが、クレジットカードやオンライン取引の普及によって減少傾向にある。
しかし、この取引での新しい方法を模索する若者もおり、ソーシャルメディアを活用して破損紙幣の取引が行われている。クアンナム省のチャン・ラムさん(31)は月収300万ドン〜500万ドン(約1万8000〜3万円)の大半を破損紙幣の取引から得ているという。
ホーチミン市の旧紙幣回収業者であるレ・グエン・トゥアン・アンさん(34)も、破損紙幣の取引を手伝うことで仲介手数料を得ている。アンさんは「紙幣は状態が悪くなっても、その価値は失われない」と語る。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。