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ベトナムのたばこ問題、低価格が喫煙率の高さに拍車
<写真:mic.gov.vn>
ベトナムではたばこの価格が平均1箱1ドル(約154円)未満と極めて低く、若者を含む多くの人々が容易にたばこにアクセス可能な状況が続いている。
この問題は健康、経済、社会全体に深刻な影響を及ぼしており、持続可能な発展目標(SDGs)への取り組みを脅かしているという。
ベトナム国内で販売されるたばこは、主要都市ハノイ市とホーチミン市においても多くのブランドが1箱7000~8000ドン(約42〜48円)の低価格で販売されている。
この背景には単純な税率方式に依存している現行の税制があり、低価格帯のたばこの生産を助長している。
ヘルスブリッジ・カナダのグエン・ティ・アン氏によると、このような低価格は低所得者層や未成年者が容易にたばこに手を伸ばす状況を作り出しており、税制の改善が急務である。
また、成人男性の喫煙率は2010年の47%から2021年には41%に減少したが、その減少幅は目標を下回っている。さらに、2022年以降は再び喫煙が増加し、2023年のたばこ生産量は75億箱に達している。
2021年の統計によると、ベトナムでは8万4500人が能動的喫煙に起因する病気で死亡し、1万8800人が受動喫煙による疾患で命を落とした。これにより、たばこ関連の死亡は全体の17.8%を占め、交通事故による死亡の15倍にも上る。
さらに、2022年にたばこ関連で失われた経済的損失はGDPの1.1%に相当する約108兆ドン(約6588億円)に上り、税収の5倍以上となっている。この損失は医療費や労働生産性の低下を含み、国の経済的成長を著しく妨げる要因となっている。
ベトナムのたばこ税率は2022年時点で小売価格の36%にとどまり、地域平均を大きく下回る。
WHOはたばこ税率を2026年までに1箱あたり5000ドン(約30円)、2030年までに1万5000ドン(約90円)に引き上げることを推奨している。この措置により、2030年までに320万人の喫煙者を減少させることが可能とされる。
税率引き上げはたばこの消費を抑制するだけではなく、政府の税収を増加させ、医療費の削減にもつながる。実際、税制改革により喫煙者の減少が加速し、国民の健康増進と経済的損失の軽減を実現する可能性が高い。
ベトナムは2045年までに高所得国入りを目指しているが、たばこの問題がこの目標達成を妨げる可能性がある。
税制改革を中心とした包括的な対策が、たばこの影響を抑え、持続可能な発展と健康的な社会の実現に向けた鍵となる。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。