おすすめのプロモーション
ホーチミンのGRDP成長率、25年は10%以上を目標

<写真:ttbc-hcm.gov.vn>
ベトナム経済の中心地であるホーチミン市は、2025年の域内総生産(GRDP)成長率10%以上を目指し、成長戦略を推進している。同市は高付加価値産業の育成やインフラ整備、投資環境の改善を通じ、持続可能な経済発展を図る方針である。
ホーチミン市人民委員会のファン・ヴァン・マイ委員長は、新春の記者会見で「2025年に2桁成長を達成し、2026~2030年のさらなる成長につなげる」との決意を示した。
ホーチミン市は新たな成長分野を開拓しながら、既存の主要産業も強化する方針で、高付加価値の製造業や輸出産業の育成、高品質なサービス業の拡充に取り組む。また、デジタル経済やグリーン経済、循環経済の推進を加速させる。
すでに市内の多くの企業が環境基準を満たす取り組みを進め、欧米市場へのアクセス強化を図っている。
近年、ホーチミン市の経済構造は現代化の方向へと進行しており、2024年時点でサービス業がGRDPの65.5%を占め、主要な成長エンジンとなっている。工業・建設業は21.7%、農林水産業は0.5%、税収等は12.3%を占める。
特に電子商取引の発展が物流や輸送業の成長を後押しし、2024年の物流・運輸業は前年比17.85%増と、市の経済成長に大きく貢献した。
ホーチミン市は、2025~2030年にかけて大規模なインフラ整備を進め、経済発展の基盤を強化する計画である。特に2030年までに市内および近隣地域との交通網整備を基本的に完了させ、都市鉄道の整備も2035年までに進める見通しである。
また、投資環境の改善も重要な課題となっている。ホーチミン市は不動産や税制、通関手続きなど企業が直面する課題を解決し、投資家が事業を展開しやすい環境を整える方針である。
企業の期待も高まっており、サイゴン企業家クラブのルー・グエン・スアン・ヴー会長は「市の目標は野心的であるが、経済の回復基調を踏まえれば実現可能である」との見方を示す。
2024年には政府と中央銀行が融資環境を改善し、低金利政策を導入したことで、企業の資金調達が容易になり、成長の追い風となっている。
外国企業の間でもホーチミン市への関心が高まっている。日本貿易振興機構(JETRO)の2024年調査によると、日本企業の56%以上がベトナムでの事業拡大を検討しており、ホーチミン市は主要な投資先の1つとして注目されている。
JETROホーチミン事務所への投資相談件数は、世界76拠点の中でバンコクに次いで2番目に多いという。
JETROホーチミン事務所の松本代表は「同市には優秀な人材が豊富で、投資先としての魅力が高い」と指摘する。今後、ホーチミン市は高等教育機関の卒業生が適切な職を得られる環境を整え、人材の活用を最大化することが求められる。
ホーチミン市が2025年に2桁成長を達成するには、大きな課題もある。過去10年間、ホーチミン市のGRDP成長率が10%を超えたことはなく、最高成長率は2022年の9.03%であった。
ただし、これは2021年にコロナ禍で-6.78%の成長率を記録したことによる反動である。2024年のGRDP成長率は7.17%で、目標の7.5~8%には届かなかった。
ホーチミン市統計局のグエン・カック・ホアン局長は「2025年の高成長を実現するには、経済回復の波に乗り、公共投資を迅速に推進する必要がある」と指摘する。
特に交通インフラの整備や建設資材の供給問題の解決が急務とされる。また、工業セクターの競争力を維持するために、工業団地の再編や企業向けの優遇策が求められる。
経済専門家のダン・ドゥック・アン博士は「ホーチミン市の経済は量的な拡大が中心であり、高付加価値分野の育成が遅れている」と指摘する。特に不動産開発の遅れや観光・エンターテインメント産業の振興策の不足が課題とされる。
ホーチミン市が2025年に目標を達成できるかどうかは、既存の問題の迅速な解決と、新たな成長エンジンの確立にかかっている。今後の政策動向に注目が集まる。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。