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米国の相互関税、ベトナム経済に最大5.5%の影響

<写真:24h.com.vn>
米国のドナルド・トランプ大統領は2日、180を超える貿易相手国に対して10〜50%の対抗関税を課す新たな政策を発表した。
ベトナムもこの措置の対象国に含まれ、最大税率となる46%が適用される見通しである。これを受け、ベトナム経済への深刻な影響が国内外の専門家によって指摘されている。
ニュージーランドのオークランド工科大学に所属する経済学者ニヴェン・ウィンチェスター氏は、今回の関税政策によりベトナムの国内総生産(GDP)は最大0.99%、金額にして約50億ドル(約7500億円)減少すると試算した。
これは、1世帯あたり年間で約196ドル(約2万9400円)の損失に相当するという。
加えて、オランダの大手金融機関INGは、ベトナムのGDPのうち米国市場に依存する割合が12%に達している点を踏まえ、今回の措置によりGDPの最大5.5%が失われる可能性があると分析している。
INGはアジア諸国の中でもベトナムが最も大きな打撃を受ける国の1つになると予測した。
すでに、アルミニウム、鉄鋼、自動車および部品といった品目は25%の関税対象となっており、今回の追加措置ではこれらにさらに高率の関税が課される。
ただし、金、銅、医薬品、木製家具、半導体など一部製品については例外措置として免除が適用される見通しである。
米国政府は対抗関税の導入理由として、貿易赤字の是正を掲げている。
実際、米国の対ベトナム財の貿易赤字は2023年の1045億ドル(約15兆6750億円)から2024年には1234億ドル(約18兆5100億円)へと拡大しており、この動きが政策決定の背景にある。
こうした状況を受けて、ベトナム政府は迅速対応チームを設置し、関税問題への対応に乗り出している。
政府高官が訪米して両国間の協議に臨む予定であり、財務副大臣のグエン・ドゥック・チー氏は「貿易の均衡を図ることを基本としながら、双方にとってより良い形を模索する」と述べ、対話を通じた解決を重視する姿勢を示した。
複数の経済専門家も対立ではなく協調的なアプローチを通じた解決策を提案している。
ドイツ・マインツ大学の経済学者フィリップ・ハームス氏は「ベトナムは米国依存からの脱却と輸出市場の多様化を進めるべきである」と主張し、EUとの自由貿易協定(EVFTA)など既存の貿易枠組みの活用が重要であると指摘した。
同様にベトナム国家大学ホーチミン市校のグエン・チー・ハイ准教授も「この危機を機会に変えるべきだ」と述べ、生産体制および市場の多様化の必要性を強調した。
INGは東南アジア諸国の多くが報復措置よりも交渉による解決を選ぶ可能性が高いと見ており、ベトナムも自動車、液化天然ガス(LNG)、一部農産品に対する関税引き下げといった譲歩策を交渉材料として活用する見通しである。
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