ベトナム旅行中の下痢対策|原因・薬・受診目安と帰国後の注意
目次
ベトナム旅行中に突然お腹を壊したら、まず優先したいのは下痢を無理に止めることではなく、脱水を防ぐことです。
旅行者下痢症は細菌・ウイルス・寄生虫などさまざまな原因で起こり、食べ過ぎや疲労など感染以外の胃腸トラブルが重なることもあります。
原因を見た目だけで判断するのは難しいため、症状の重さに応じて補水、休息、薬、受診を使い分けることが大切です。
この記事のポイント
- 下痢・嘔吐がある時は、まず経口補水液(ORS)で水分と電解質を補う
- 血便や発熱がある時は、ロペラミドなどの下痢止めを自己判断で単独使用しない
- ベトナムの薬局ではOresol、loperamide、Smectaなどの流通を確認できるが、適応は薬剤師・医師に確認する
- 水分を取れない、強い腹痛、高熱、血便、脱水症状がある場合は早めに医療機関へ
- 帰国後も下痢が続く場合、特に14日以上続く時は寄生虫なども含めた検査が必要になることがある
医療情報の確認日:2026年8月31日
本記事はCDC Yellow Book 2026、CDCのベトナム渡航情報、WHO、厚生労働省検疫所FORTHなどの公開情報をもとに一般的な対処を整理しています。個別の診断や処方が必要な場合は、医師・薬剤師に相談してください。
ベトナムで下痢になったら最初にすること
- ORSなどで少しずつ補水する
下痢や嘔吐では水分だけでなく塩分などの電解質も失われます。ベトナムの薬局で「Oresol」「ORS」「Oral rehydration salts」と伝えると探しやすいです。粉末は製品ごとに溶かす水量が違うため、必ず袋の表示どおりに調製してください。
- 血便・発熱・強い腹痛がないか確認する
軽い水様便だけなのか、発熱や血便を伴うのかで対応が変わります。特に血便や発熱がある場合は、感染性腸炎などを考えて下痢止めの自己判断使用を避けます。
- 重い症状なら観光を中断して受診する
水分が取れない、何度も嘔吐する、ぐったりする、尿が極端に少ないなどは脱水のサインです。無理に移動を続けず、医療機関へ相談しましょう。
症状の重さで考える|軽症・中等症・重症の目安
CDC Yellow Bookでは、旅行者下痢症を便の回数だけではなく、予定していた行動にどの程度支障があるかで分類しています。
| 重さの目安 | 状態 | 基本対応 |
|---|---|---|
| 軽症 | 耐えられる程度で、予定していた行動に支障がない | 補水・休息を中心に経過を見る |
| 中等症 | つらく、移動や観光など予定していた行動に支障が出る | 補水を続け、必要に応じて薬剤師・医師へ相談 |
| 重症 | 行動できないほどつらい。血便を伴う下痢は重症として扱う | 医療機関へ相談。抗菌薬が必要かは医師が判断 |
血便や発熱を伴う下痢では、ロペラミドなどの腸の動きを抑える薬を単独で使わないでください。
一時的に便回数を減らせても、原因によっては適切でないことがあります。高熱、強い腹痛、血便がある場合は医療機関へ相談しましょう。
ベトナム旅行で下痢になる主な原因
旅行者下痢症|細菌・ウイルス・寄生虫によるもの
旅行者下痢症は、海外滞在中や帰国後に起こる下痢の総称です。CDCでは、細菌が主な原因で、ウイルスや寄生虫でも起こるとしています。
急に水様便、腹痛、吐き気、発熱などが出ることがあり、原因によって症状の出方や続く期間は異なります。
食中毒|食べてから短時間で嘔吐・下痢が出ることも
細菌そのものだけでなく、食品中にできた毒素によって急に嘔吐や下痢が起こることがあります。CDCは、毒素によるタイプでは数時間で症状が始まり、12〜24時間ほどで自然に改善するケースもあると説明しています。
ベトナムの食中毒全般については、ベトナムの食中毒に注意|症状・対処法・予防策を解説も参考にしてください。
疲労・食べ過ぎ・刺激の強い食事など感染以外の原因
旅行中は睡眠不足、暑さ、アルコール、食べ過ぎ、普段より脂っこい料理や辛い料理などで胃腸の調子を崩すこともあります。
ただし「疲れだろう」と決めつけず、発熱、血便、繰り返す嘔吐、強い腹痛などがあれば感染症を含めて受診を検討してください。
長引く下痢では寄生虫も考える
CDCでは、14日以上続く下痢をpersistent diarrhea(持続性下痢)として扱い、ジアルジアなどの原虫・寄生虫が見つかる割合が高くなるとしています。
アメーバ赤痢の原因となるEntamoeba histolyticaも候補の1つです。帰国後も症状が続く場合は、市販薬だけで粘らず、渡航歴を伝えて医療機関で相談しましょう。
高熱が続く時は腸チフスなども自己判断しない
腸チフスは下痢だけの病気ではなく、持続する発熱、倦怠感、腹痛などで発症することがあります。ベトナム渡航ではCDCが腸チフスワクチンを多くの旅行者に推奨しています。
高熱が続く場合や全身状態が悪い場合は、単なる「お腹の風邪」と考えず受診してください。
ベトナムの薬局で買える下痢対策|薬の選び方
ベトナムの大手薬局チェーンでは、Oresol、loperamide、diosmectite(Smecta)など下痢時に使われる製品の流通を確認できます。ただし、在庫、販売方法、年齢制限、妊娠中の使用可否などは製品や店舗によって異なります。
| 薬・用品 | 主な目的 | 使う時の注意 |
|---|---|---|
| Oresol / ORS | 水分・電解質の補給 | 下痢・嘔吐時の基本。製品ごとに指定された水量で正確に溶かす |
| Loperamide / Imodium | 便回数を一時的に減らす | 血便や発熱がある時の単独使用は避ける。子ども、妊娠中、持病がある人は医療者へ確認 |
| Diosmectite / Smecta | 下痢症状の緩和を補助 | ORSの代わりにはならない。年齢や他の薬との併用は薬剤師に確認 |
| Berberin | ベトナムで下痢用として販売される製品がある | CDC Yellow Bookの旅行者下痢症の標準的な自己治療の中心ではないため、自己判断で優先せず薬剤師・医師へ相談 |
抗菌薬を薬局で自己判断して飲むのは避けましょう。
旅行者下痢症は細菌以外でも起こり、原因によっては抗菌薬が不要です。また、東南アジアでは一部の細菌でフルオロキノロン系抗菌薬への耐性が問題になっています。重症例で抗菌薬が必要かどうかは医師が判断します。
ベトナムの薬局で薬を買う時の基本や、成分名での伝え方はベトナムの薬局で買える薬|症状別の選び方と注意点で詳しく紹介しています。
下痢・嘔吐がある時の水分と食事
水分補給はORSを優先
便や嘔吐の回数が多い時は、水だけを大量に飲むより、糖と電解質を含むORSを少量ずつ飲む方が適しています。
軽い下痢で水分が取れている場合は、飲み慣れた水分でも補給できます。ただし、糖分の多い清涼飲料を大量に飲むと下痢を悪化させることがあります。
食べられるなら無理に絶食しない
食欲がある場合は、体調に合わせて少量ずつ食べましょう。ベトナムではおかゆの「cháo(チャオ)」、白米、加熱したスープなどが選びやすいです。
- おかゆ・白米
- 十分に加熱したスープ
- バナナなど食べ慣れた食品
- クラッカーやパンなど刺激の少ない食品
症状が強い間は、アルコール、脂っこい料理、強い香辛料、加熱が不十分な肉・魚介、生野菜などは避けた方が無難です。
病院に行くべきタイミング
次の症状があれば早めに医療機関へ
- 血便がある
- 高熱を伴う
- 強い、または悪化する腹痛がある
- 嘔吐が続き、水分を保てない
- 尿が極端に少ない、強い口渇、めまい、ぐったりするなど脱水が疑われる
- 下痢が続き、改善する傾向がない
- 乳幼児、高齢者、妊娠中、免疫が低下している人、重い持病がある人
CDCの旅行前指導では、下痢が24〜36時間続いて改善しない場合や、高熱・脱水・血便など特に重い症状がある場合は医療機関へ相談するよう案内しています。
受診先を探す場合は、滞在都市に合わせて以下の記事も参考にしてください。
帰国後も下痢が止まらない場合
ベトナム滞在中に始まった下痢が帰国後も続く場合は、医療機関で「ベトナムから帰国した後の下痢」と必ず伝えてください。
多くの急性下痢は短期間で改善しますが、CDCでは14日以上続く場合を持続性下痢として扱い、寄生虫感染などを含めて評価します。厚生労働省検疫所FORTHも、帰国後に下痢が続く場合は医療機関への相談を勧めています。
- ベトナムのどの都市・地域に、いつからいつまで滞在したか
- 下痢が始まった日と、1日の便回数
- 水様便、血便、粘液便など便の状態
- 発熱、嘔吐、腹痛の有無
- 生もの、加熱不十分な料理、屋台、飲料水など心当たり
- 現地や日本で飲んだ下痢止め・抗菌薬などの薬
14日を待つ必要はありません。血便、高熱、強い腹痛、脱水などがある場合は、帰国直後でも早めに受診してください。
ベトナム旅行中の下痢を予防するポイント
水道水は飲まず、歯磨きにも安全な水を使う
CDC Yellow Bookのベトナム情報では、ベトナムの水道水は飲用に適さないとされています。旅行中は未開封の市販ボトル水や適切に処理された水を使い、歯磨きでも口に入る水に注意しましょう。
氷も安全な水から作られたことを確認できない場合は避けるのが無難です。
「十分に加熱され、熱い状態で出てくる料理」を選ぶ
生や加熱不十分な肉・魚介、生野菜、皮をむけない生の果物は感染リスクがあります。屋台やローカル店を利用する場合も、調理後すぐで中まで十分に火が通り、熱い状態で提供される料理を選びましょう。
手洗いを優先し、できない時はアルコール消毒
食事前やトイレの後は石けんと安全な水で手を洗います。手洗いができない場合、CDCはアルコール濃度60%以上の手指消毒剤を代替として案内しています。
渡航前にA型肝炎・腸チフスワクチンも確認
ワクチンで旅行者下痢症のすべてを防げるわけではありませんが、CDCはベトナムへ行く未接種の旅行者にA型肝炎ワクチンを推奨し、腸チフスワクチンも多くの旅行者に推奨しています。
接種の必要性は年齢、滞在期間、行き先、持病などで変わるため、出発前に医療機関へ相談してください。詳しくはベトナム渡航の予防接種ガイドで紹介しています。
旅行前に準備しておくと安心なもの
- 経口補水液(ORS)の粉末
- 普段から使い慣れている胃腸薬・整腸剤
- 医師・薬剤師に使用可否を確認した下痢止め
- 体温計
- 手指消毒剤
- 常用薬と薬の成分・用量が分かるメモ
- 海外旅行保険の証書・緊急連絡先
現地で薬を探すより、日本で普段から使っている薬を準備しておく方が成分や使い方を確認しやすい場合があります。子ども連れ、妊娠中、持病がある場合は出発前に医師へ相談してください。
よくある質問
Q. ベトナムで下痢止めを飲んでも大丈夫?
発熱や血便がなく、軽症〜中等症の水様便を一時的に抑えたい場合にロペラミドが使われることがあります。一方、血便や発熱がある場合は単独使用を避け、医療機関へ相談してください。
Q. 水道水で歯磨きしても大丈夫?
CDCは、水道水の安全性が確かでない地域では歯磨きにも未開封のボトル水や適切に処理した水を使うよう案内しています。ベトナムでは水道水を飲まない前提で行動し、口に入る水にも注意するのが無難です。
Q. 抗生物質はベトナムの薬局で買って飲めばいい?
おすすめしません。旅行者下痢症はウイルスや寄生虫でも起こり、細菌でも薬剤耐性によって適切な抗菌薬が異なります。高熱、血便、重い下痢がある場合は医師へ相談してください。
Q. 帰国後も下痢が止まらない時は?
渡航歴を伝えて医療機関へ相談してください。特に14日以上続く下痢では寄生虫などが原因の可能性が高くなります。血便、高熱、脱水などがある場合は14日を待たず早めに受診します。
Q. 子どもが下痢になった場合も同じ対応?
子どもは脱水が進みやすいため、早めのORSによる補水が特に重要です。年齢によって使える薬が異なるため、大人用の下痢止めを自己判断で与えず、小児対応の医療機関や薬剤師へ相談してください。
まとめ|まず補水、危険な症状があれば早めに受診
ベトナム旅行中の下痢では、原因を自己判断して薬を増やすより、まず脱水を防ぎ、症状の重さを確認することが重要です。
覚えておきたい5つ
- 下痢・嘔吐ではORSを少量ずつ飲む
- 血便・発熱がある時は下痢止めを自己判断で単独使用しない
- 水分が取れない、強い腹痛、高熱、脱水症状があれば受診する
- 帰国後も続く場合は「ベトナム帰国後の下痢」と医師に伝える
- 予防では安全な水、十分に加熱した食事、手洗いを徹底する
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