ベトナムのスープ8選|家庭料理「カイン」の種類・味・特徴を紹介
目次
「ベトナムのスープ」と聞くと、フォーやブンなどの麺料理を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、ベトナムの家庭の食卓で日常的に登場する汁物として覚えておきたいのが、「カイン(Canh)」です。
カインは、野菜、豚肉、エビ、魚などを使った比較的あっさりした汁物で、ご飯やほかのおかずと一緒に食べるのが一般的。日本の味噌汁とまったく同じものではありませんが、食卓での役割には似ているところがあります。
この記事では、ベトナムで親しまれている代表的なカイン8種類を、味や具材、地域による違いとともに紹介します。
この記事のポイント
- 家庭料理のスープ「カイン(Canh)」とフォーの違いがわかる
- 空芯菜やツルムラサキなど、ベトナムらしい野菜のスープを紹介
- 南部の代表的な甘酸っぱいスープ「カインチュア」も紹介
- ハノイの伝統料理「カイン・ボン・ター」もわかる
- 料理名や具材は地域や家庭によって異なるため、代表例として紹介
ベトナムの「カイン(Canh)」とは?フォーとの違い
ベトナム語の「Canh」は、日本語では「スープ」「汁物」と訳されることが多い言葉です。
特に家庭の食事では、ご飯、肉や魚のおかず、野菜料理などと一緒にカインを並べ、家族で取り分けて食べるスタイルがよく見られます。
| 比較 | カイン(Canh) | フォー・ブンなど |
|---|---|---|
| 食事での位置づけ | ご飯やおかずと一緒に食べる汁物 | 麺とスープを一緒に食べる一品料理 |
| 麺 | 多くの場合は入らない | フォー、ブンなどの麺が主役 |
| 食べ方 | 家族などで取り分けることが多い | 1人1杯で食べることが多い |
| 代表例 | Canh rau muống、Canh chua cáなど | Phở bò、Bún bò Huếなど |
「Bánh canh」は名前にCanhが入りますが、太い米粉・タピオカ系の麺をスープで食べる麺料理です。
家庭の汁物としての「Canh」とは少しジャンルが異なります。
フォーやブンなど、ベトナム料理全体について知りたい方は、ベトナム料理の定番グルメまとめも参考にしてください。
ベトナムのスープ8選|まずは早見表でチェック
| 料理名 | 主な具材 | 味・特徴 |
|---|---|---|
| Canh rau muống | 空芯菜 | さっぱりした青菜のスープ。酸味を加える作り方もある |
| Canh mồng tơi | ツルムラサキ、エビ、カニなど | やさしい味。葉にややとろみがある |
| Canh khoai mỡ | 紫山芋、エビ、肉など | 紫色で、とろみのある独特の食感 |
| Canh bí đỏ | かぼちゃ、豚ひき肉、エビなど | かぼちゃの甘さを感じるやさしい味 |
| Canh bóng thả | 乾燥豚皮、野菜、キノコなど | 北部・ハノイの伝統的な祝い料理 |
| Canh sườn non | 豚スペアリブ、野菜 | 豚の旨味を生かしたコクのあるスープ |
| Canh chua cá | 魚、タマリンド、トマト、パイナップルなど | 南部を代表する甘酸っぱいスープ |
| Canh sườn chua | スペアリブ、トマト、酸味のある果実など | 酸味と豚肉の旨味を合わせたスープ |
1. カイン・ラウ・ムオン(Canh rau muống)|空芯菜のスープ

ベトナム料理でよく使われる野菜のひとつが、空芯菜「rau muống」です。
Canh rau muốngは、空芯菜を使ったシンプルな家庭スープ。シャキッとした茎とやわらかい葉の食感が楽しめます。
作り方は家庭によってさまざまで、肉やエビを加えるもののほか、トマト、タマリンド、発酵米などで酸味を付けるタイプもあります。
Canh rau muốngが必ず酸っぱいわけではありません。あっさりした塩味のものから酸味を効かせたものまで、レシピによって味が異なります。
2. カイン・モン・トイ(Canh mồng tơi)|ツルムラサキのスープ

「mồng tơi」は、日本でも野菜として知られるツルムラサキです。
加熱すると葉に少しとろみが出るため、Canh mồng tơiはCanh rau muốngとは異なるなめらかな口当たりになります。
エビ、ひき肉、貝などと合わせるほか、北部ではカニとツルムラサキ、ヘチマなどを合わせた家庭料理も知られています。
ベトナム料理で使われる空芯菜やツルムラサキについて詳しく知りたい方は、ベトナムの野菜図鑑もチェックしてみてください。
3. カイン・コアイ・モー(Canh khoai mỡ)|紫山芋のスープ

鮮やかな紫色が印象的なのが、紫山芋「khoai mỡ」を使ったCanh khoai mỡです。
山芋をすりつぶしたり細かく削ったりして煮るため、スープには自然なとろみが付きます。
エビや豚肉などを加えるレシピも多く、山芋のほくほく感と、とろっとしたスープを一緒に楽しめるのが特徴です。
見た目は濃厚そうですが、味付け自体は比較的やさしく、ご飯と合わせやすい家庭料理です。
4. カイン・ビー・ドー(Canh bí đỏ)|かぼちゃのスープ

「bí đỏ」はかぼちゃのことで、Canh bí đỏは家庭で作りやすい定番のスープです。
かぼちゃと豚ひき肉を組み合わせる作り方のほか、エビなどを使うこともあります。
かぼちゃそのものの甘さがスープに溶け込み、肉やエビの旨味と合わさったやさしい味わいが特徴です。
5. カイン・ボン・ター(Canh bóng thả)|乾燥豚皮と野菜のスープ

Canh bóng thảは、ハノイをはじめとする北部の伝統料理として知られるスープです。
特徴的なのが「bóng bì」と呼ばれる豚皮。豚皮を乾燥・加工して膨らませたもので、スープを吸うと独特のやわらかさと弾力が生まれます。
ニンジン、コールラビ、カリフラワー、キノコ、エンドウなど、色鮮やかな具材と合わせることが多く、澄んだスープに仕上げます。
日常的な家庭料理というよりも、ハノイの伝統的な旧正月料理などで知られる一品です。
6. カイン・スオン・ノン(Canh sườn non)|スペアリブと野菜のスープ

「sườn non」は豚のスペアリブを指します。
Canh sườn nonは、スペアリブを煮込んで旨味を引き出し、野菜と合わせるスープです。
ジャガイモ、ニンジン、トウモロコシ、カリフラワーなどを入れることがありますが、具材の組み合わせは家庭によってさまざま。
野菜中心のカインよりも肉のコクを感じやすく、食べ応えがあります。
7. カイン・チュア・カー(Canh chua cá)|甘酸っぱい魚のスープ

ベトナムのスープの中でも特に覚えておきたいのが「Canh chua」です。
「chua」は「酸っぱい」という意味で、Canh chuaは酸味を効かせたスープの総称。その代表的な料理が、魚を使ったCanh chua cáです。
特にベトナム南部で親しまれており、タマリンドの酸味に、パイナップルやトマトの甘酸っぱさを合わせます。
魚のほか、オクラ、もやし、ハスイモの茎、香草などが入ることもあり、甘味・酸味・塩味が重なる複雑な味わいが魅力です。
ベトナムで使われる魚について気になる方は、ベトナムで食べられている魚の種類も参考にしてください。
8. カイン・スオン・チュア(Canh sườn chua)|酸味のあるスペアリブスープ

魚ではなくスペアリブを使った酸味のあるスープがCanh sườn chuaです。
トマトとスペアリブを煮込み、酸味のある果実などを加えて仕上げます。
北部では「sấu(サウ)」と呼ばれる酸味のある果実を使う作り方もあり、豚肉の旨味にさっぱりした酸味が加わります。
Canh chuaやCanh sườn chuaは、地域や家庭によって酸味を付ける食材が異なります。料理名が同じでも、店や家庭によって味が違うのもベトナム家庭料理の面白さです。
ベトナムでスープを探すときに覚えておきたい言葉
ローカル食堂や家庭料理店でメニューを見る際は、以下の言葉を覚えておくとスープを探しやすくなります。
| ベトナム語 | 意味の目安 |
|---|---|
| Canh | スープ・汁物 |
| Canh rau | 野菜のスープ |
| Canh cá | 魚のスープ |
| Canh sườn | スペアリブのスープ |
| Canh chua | 酸味のあるスープ |
| Cơm gia đình | 家庭料理・家庭料理スタイルの食事 |
観光客向けの有名店ではフォーやブンなどの麺料理が目立ちますが、家庭料理系の店やローカル食堂ではCanhを見つけられることがあります。
フォーや麺料理、鍋まで含めた北部のスープ系料理を知りたい方は、ベトナム北部のスープ系料理8選も参考にしてください。
ベトナムのスープに関するよくある質問
ベトナムで有名なスープは何ですか?
旅行者にはフォーなどの麺入りスープが有名ですが、家庭料理では「Canh」と呼ばれる汁物も広く親しまれています。特に南部のCanh chua cáは、ベトナムらしい甘酸っぱい味を楽しめる代表的な一品です。
Canhとフォーは同じですか?
異なります。Canhはご飯やおかずと一緒に食べる家庭の汁物を指すことが多く、フォーは米麺をスープと一緒に食べる一品料理です。
ベトナムのスープは辛いですか?
必ずしも辛くありません。あっさりした野菜スープや甘みのあるかぼちゃスープも多くあります。唐辛子を加えるかどうかも料理や家庭によって異なります。
カインチュアはどんな味ですか?
「chua」は酸っぱいという意味で、タマリンド、トマト、パイナップルなどを使った甘酸っぱい味が特徴です。南部のCanh chua cáでは魚や野菜、香草も加わり、甘味・酸味・旨味を一緒に楽しめます。
まとめ
ベトナムには、フォーのような麺入りスープだけでなく、家庭の食卓でご飯と一緒に食べる「Canh」という豊かなスープ文化があります。
空芯菜やツルムラサキを使ったシンプルなCanhから、紫山芋やかぼちゃ、スペアリブを使ったもの、南部を代表する甘酸っぱいCanh chua cáまで、その種類はさまざまです。
同じ料理名でも地域や家庭によって具材や味付けが違うため、ベトナムで生活・旅行する際には、ぜひいろいろなCanhを食べ比べてみてください。
汁物が好きな方は、ベトナムのおすすめ鍋料理もあわせてチェックしてみてください。
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