ベトナム燃料不足問題の実態、仕組みの大きな欠点

2022年11月17日(木)09時26分 公開
ベトナム燃料不足問題の実態、仕組みの大きな欠点

〈写真:VnExpress〉

 

ホーチミン市経済大学技術・デザイン学部のグエン・カック・クオック・バオ副学長によると、ベトナムのガソリン不足は不適切な価格管理メカニズムが輸入を干上げてしまったことが原因となっている。

 

ここ数カ月にわたってベトナム南部でガソリン不足が深刻化し、北部にも広がりを見せている。

 

ロシアとウクライナ紛争が激化し、ロシアがヨーロッパへの販売を拒否したため、ディーゼルを中心とした石油製品が不足し、世界的に燃料不足が深刻になっている。また、世界的なディーゼルの品薄に加え、紛争の影響で輸入や海運、保険料などに影響が出ている。

 

こうした状況下によってベトナムへの石油輸送コストも上昇しており、他のサーチャージを除いた輸送サーチャージは2倍になっている。また、ベトナムではドルがドンに比べて上昇し、貸出金利が上がり、銀行の信用が乏しくなっており、石油関係だけではなく全てのビジネスが困難な状況に直面している。

 

輸入業者は特に輸送費に関連してより困難な状況に直面しており、商工省と財務省による価格管理が世界市場の動きに追いついていないため、輸入ガソリンや軽油の販売は現在の小売価格では採算がとれない。

 

小売価格は基本価格とサーチャージ、運賃に固定されており、燃料を販売しても利益が出ないため、一部の業者はガソリンとディーゼルの輸入を制限している。

 

税関のデータによると、2022年第3四半期のガソリンとディーゼルの輸入量は前年同期比で40%と30%減少している。

 

しかし、ビンソンやズンクワットといったベトナムの石油化学製油所では国内需要の70%しか満たすことができないため、3割近くは輸入しなければならず、輸入業者に頼らざるを得ない。

 

輸入量が減れば市場でガソリン不足が発生することは明確であり、この1カ月でホーチミン市から始まり、近隣の省、そしてハノイ市を含む北部の一部地域までガソリンスタンドに行列ができる現象は、この問題の典型的な例である。

 

ベトナムの石油市場は供給不足に陥っており、根本的かつ同調的な解決策が必要である。同国の石油価格管理と石油市場の運営には長年にわたって2つの大きな欠点があり、これらの欠点を早急に解決する必要がある。

 

1つ目の欠点は価格決定メカニズムの不備であり、ガソリンは高い税金と手数料によって世界価格に比べて非常に高い国内価格になっている。2つ目は会議を通した価格管理の仕組みと非常に厳格な計算式によるもので、世界の価格変動に追いついておらず、国内市場の卸売価格と小売価格の両方に不備が生じ、輸入業者や販売業者、一般大衆に困難を引き起こしていることである。

 

販売価格は基本価格とサーチャージで計算されており、サーチャージには海外からベトナムへ、あるいは製油所のある中部地方からホーチミン市やハノイ市などへのガソリンや軽油の輸送費などが含まれている。

 

これらのコストは政令95号で規定されており、過去6カ月間の平均値に基づいて算出されるが、世界市場の変動が激しい際には過去6カ月間の平均は現在のレベルを反映することができない。

 

現在はコストが急激に上がっているため、小売販売価格では石油元売会社に損失が発生する状況となっている。また、現状はこの小売価格の調整が10日に1回とあまりにも遅く、ガソリン価格が毎日大幅に変動する現状には全くもって機能していない。

 

こうした事態は各省庁が積極的かつ柔軟に対応していれば、基準価格やサーチャージの算定、価格管理期間といった法的根拠を変更し、市場の不安定さに積極的に対処することができていた可能性が高い。

 

価格調整期間も10日間から5〜7日間に短縮されるべきであり、過去6カ月の平均コストに頼るのではなく、より良い予測で世界価格が一定水準を超えるたびに、より迅速に価格調整ができるような仕組みが導入されるべきである。

 

そうすれば国内の価格規制当局もより柔軟に価格調整を行う余地が広がり、ガソリンや軽油の市場を硬直的に管理する必要がなくなる。

 

ベトナムはこういった根本的な解決策を講じ、現在の供給不足を解消する必要性に迫られている。

 

 

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