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ベトナムの高齢化と核家族化、増加する老人の孤独

2023年04月05日(水)13時49分 公開
ベトナムの高齢化と核家族化、増加する老人の孤独

<写真:VnExpress>

 

ベトナムでは高齢化と核家族化が進み、貧しい高齢の1人暮らしに孤独を感じる高齢者が増加している。

 

独居老人であるタインさんは2022年に浴室で転倒してしまい、痛めた身体を引きずって携帯電話を探し、親戚の助けを呼ぶまでに約1時間を要したという。

 

その後、親戚が助けに訪れたが、子どもの世話を理由に直ぐ帰ってしまった。

 

タインさんは夫を亡くしてから一人暮らしであり、子どもや孫は別の場所で生活を送っている。

 

子どもから「都会で一緒に暮らそう」と誘われたこともあるが、夫の仏壇を放置して都会の喧騒を我慢することが嫌であったという。

 

ベトナム人口健康開発研究所の発表によると、ベトナムにおける一人暮らし高齢者の割合は8.6%である。

 

同国ではキャリアを積むために親元を離れて都市へ移住する人が増加しており、人口動態調査でも核家族が従来の拡大家族に取って代わりつつあることが明らかになっている。

 

2021年に発表された家族・ジェンダー研究所の調査によると、子どもと同居する高齢者の割合が1992~1993年の79.73%から2017年には28.4%に減少した。

 

国立行政学院教授のファム・ティ・トゥイ博士は核家族化進行の理由を、現代の若者世代と親世代のライフスタイルや食習慣、行動様式の大きな違いにあるとしており、高齢者は子どもとの同居を好まず、子どもも同様に高齢者との同居を好まないという。

 

タインさんは洗濯機よりも手洗いが効果的であり、週に3回の外食は無駄であると考えており、子どもと同居した際には正反対の考え方に非常に不満を感じた。

 

子どもたちのビジネスに関する会話は理解できず、孫は携帯電話やノートパソコンに夢中になっており、タインさんは自身を招かれざる客として感じ、悲しい思いをしたという。

 

こうした状況によって高齢者は同居状態にあっても孤独を感じることが多く、2020年にベトナム社会科学アカデミーは子どもと一緒に暮らす高齢者の2.2人に1人が不幸であるという調査結果を発表した。

 

ベトナムでは高齢化が急速に進んでおり、2050年には人口の18%が65歳以上の高齢者となる「超高齢国」になる予測である。

 

社会福祉制度への大きな負担が課題で、2035年以降は現役世代の4人が定年世代の3人を支える必要があると予想されている。

 

トゥイ博士によると、高齢者が元気を維持するためにはポジティブシンキングの実践と年齢に合ったコミュニティ活動への参加が必要であるという。また、高齢者だけではなく、誰もが経済的、心理的、精神的、肉体的にも老後に備えた早めの準備をしなければならない。

 

一般的に60歳を過ぎると健康状態が悪化することが多いが、ベトナムでは社会福祉から支援を受けるために数年待たなければならない様なこともあり、社会保障制度の抜け穴を修正する必要がある。

 

ベトナムでは900万人以上の定年退職者がいかなる社会保障の恩恵も受けたことがない状態となっている。

 

高齢者の約38%は子どもの助けを借りながら自身で生活費の面倒を見ており、29%は定年後も働き続ける必要がある。また、年金受給者は15%、生活保護受給者は10%に過ぎない。

 

経済的な安定は人に自信と自尊心を持たせるものであり、生活保護対象外や子どもから経済的な支援を受けられない高齢者は動揺し、最終的には「見捨てられた」という感情に変わってしまうという。

 

タインさんは高齢によって子どものライフスタイルに合わせられないことに悲しみを感じてはいるが、地元で1人で生きなければならないことは納得している。

 

しかし、3人の子どものうち1人が近所に転居してくれることを切望しているという。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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