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子供を持たない結婚生活、ベトナム人の家族形態が変化
<写真:VnExpress>
ベトナムでは子供を持たないことを決めた夫婦の数に関する大規模な調査は行われていないが、実際にそうした傾向を示す兆候が現れはじめている。
ホーチミン市在住のガンさん(35)は昨年、家族の記念日のためにティエンザン省に帰省した際に、親戚から子供を持つことについて絶え間ない質問を受け、子供を持つ予定がないことを伝えると母親のヴァンさんから相続放棄されそうになったという。
ガンさんとヴァンさんは子供を持つことのメリットとデメリットについて何度も言い争った。ベトナムでは子供が両親の老後を支えるケースが多い。
ガンさんはヴァンさんの言うことが理にかなっていたとしても、自身の利益のためだけに子供を産むことは自分勝手であると感じた。
結婚して7年目のガンさんは、夫と子供を持つことについて何度も話し合い、夫婦生活の安定を保つために子供は作らないというのがお互いの意見であったという。
ガンさんはメディアに対し「世の中には人が多すぎる。もう1人子供を産むことはゴミを増やし、環境をさらに汚染することを意味する」と語った。
世界にはガンさん夫婦のように子供を作らないことを決めている夫婦が多くいる。
韓国では1人の女性が生涯に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率(TFR)が0.78まで低下して世界で最も低い数値を記録し、2022年に中国は60年ぶりの人口減少を記録した。
ベトナムでは子供を持たない夫婦についての大規模調査は行われていないが、2020年のブリティッシュ・カウンシルによる調査資料「Next Generation Vietnam」では、ベトナムの若者30%が結婚や家族的責任よりもキャリア目標を優先していることが指摘されている。
また、ベトナムの新世代成人は晩婚化傾向にあり、出産に消極的であるという。
地元メディアが行った調査でも同様の傾向が見られ、調査対象者約1000人のうち61%が「結婚後に子どもを持つことは必須ではない」という考えを支持していた。
ベトナム統計総局(GSO)が2022年に収集したデータによると、ベトナム人は総じて出産に消極的になっており、同国の出生率は2.01と2018年以降最も低いポイントを記録している。
同国の人口水準を維持するために1人の女性が産む必要のある子供の平均数として理解される人口置換水準は現在2.1である。
家族のためにすべてを犠牲にする母親の姿を見て育ったというフオンさん(35)も同様に、子供を持たずに夫婦だけで暮らしたいという希望を持ち続けている。
どちらの夫婦も子供を持たないという決断をした際には、両親から非難され「恩知らず」と言われ「子供が欲しくないのであれば、なぜ結婚したのか」とさえ聞かれたという。
開発地域保健研究所副所長のグエン・トゥー・ザン博士は「社会の大多数に支持されない視点を公に示すことは決して容易ではない」と夫婦の苦難に同情を示している。
同博士によると、ベトナムで子供のいない結婚のトレンドが生まれた主な理由は2つあり、1つ目は生活コストが上昇し、ミレニアル世代とZ世代が高い生活水準を維持するのに苦労していることである。
その結果として若い夫婦は子供を持つことによる経済的負担を負いたくないと考えるようになっている。
2つ目は東アジア女性の多くが学業やキャリアアップを望み、子育てに全てを捧げる人生に懐疑的になっていることである。
GSOが2019年に収集したデータでも教育水準が高い人ほど出産を望まないことが示されており、より多くのスキルとより優れた経済的知識を持つ女性は子供を持つ可能性が低いことが示されている。
しかし、ザン博士は別のネガティブな側面にも注目すべきであると指摘する。家族の構成人数が減少するに連れて、子供を持たない夫婦は老後に孤独を味わい、国の人口動態や社会福祉制度が長期的に害されるという。
子供を持たない決断をしたあるベトナム人夫婦は「人にはそれぞれの人生がある。私たちは他人が望むような生き方をしたいわけではない。私たちが幸せであれば、他の人も幸せであるべき」と話している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。