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解雇の危機に瀕するベトナムの高齢労働者、多くの困難に直面

2023年09月08日(金)15時00分 公開
解雇の危機に瀕するベトナムの高齢労働者、多くの困難に直面

<写真:VnExpress>

 

ホーチミン市最大の雇用主である台湾の靴メーカーPou Yuenで数度のレイオフを経験したヴォ・ティ・トゥイさん(40)は、再び自身の職を失う可能性に直面している。

 

同社は受注減少を背景に従業員削減を進めており、トゥイさんのような年配の労働者は、生産性の低下を理由に解雇の対象となるのではないかと懸念しているという。

 

トゥイさんと夫はホーチミン市の出稼ぎ労働者で、7歳と15歳の子供たちとともに生計を立てている。新学期には子どもたちの公立学校の授業料として1000万ドン(約6万1000円)が必要となる。この金額は大手ブランドの下請けとして同社で21年間勤務してきたトゥイさんの月収と同等である。

 

トゥイさんの夫は建設現場の石工として勤務しているが、建設業界の低迷により収入は不安定になっている。最近はライドヘイリングサービスのドライバーとしても勤務しているが、収入は保証されていない。

 

同市在住の工場労働者であるグエン・ティ・チャムさんも同じ状況に直面している。チャムさんは繊維・衣料品会社Noblandで17年間勤務しているが、最近は解雇の通知が来るのではないかと恐れが強く、仕事に集中できずにいるという。

 

彼女は同社従業員の第一世代に属し、17年前から時給制で給与を受け取っている。現在の月給は手当を除いて1100万ドン(約6万7000円)である。

 

近年、同社は毎月の製品数に応じた給与支払いへ部分的に切り替えた。この制度下で同社は500万ドン(約3万600円)以下の固定給を維持し、多くの注文をこなすことで収入を増やすかどうかは個々の労働者次第である。

 

2年前に製品ベースの給与方式が発表された際、チャムさんと他の上級労働者はこれを拒否し、ストライキを起こした。その後、会社は600人以上の上級労働者を解雇する計画を打ち出したが、対象者の大半はまだ時給制の給与を受け取っていた。

 

社会生活研究所のグエン・ドゥック・ロック准教授は、高齢労働者の懸念が合理的であると指摘している。同准教授によれば、今年初めにPou Yuenが解雇した2300人以上の従業員の中で54%が40歳以上、39%が30~40歳、2回目のレイオフで職を失った6000人のうち50%以上が40歳以上であった。

 

職を失った高齢労働者は若年労働者よりも多くのリスクに直面する。高齢になると退職金を元手に起業することが難しくなり、再就職や別の工場での再就職も難しくなる。そのため、解雇された多くの高齢労働者は労働条件が悪く、福利厚生がほぼない、あるいは皆無の小規模工場での季節労働と低賃金を受け入れざるを得ない。


労働・傷病兵・社会問題省法務局のグエン・ヴァン・ビン局長は、10年以上の経験を持つ労働者が貴重な資産となる職業もあると述べている。しかし、労働セクターでは、労働者の生産性は時間とともに低下し、給与制度は年功序列である。つまり、生産性と賃金がミスマッチになり、企業はコスト削減の方法を探ることになる。

 

構造改革による人員削減は法律で禁止されているわけではない。しかし、リストラされる労働者の大半が高齢者である場合、それは「労働差別の兆候」となり、ベトナムや他の多くの国で法律違反となる。

 

 



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