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キャッシュレス決済の浸透、ベトナムで非現金派が増加
〈写真:tuoitre.vn〉
ベトナムではキャッシュレス決済の普及が加速し、都市部にとどまらず地方にも広がりを見せている。特にQRコード決済は飲食店や小売店だけではなく、路上販売や移動販売にも浸透し、日常の決済手段として定着しつつある。
ベトナム国家銀行(SBV)の統計によると、2024年のキャッシュレス決済取引件数は170億件に達し、個人向け決済アカウント数は2億を超え、前年同期比で50%以上増加した。こうした背景には利便性の向上や金融包摂の推進、各種キャンペーンを活用した若年層の積極的な利用がある。
ホーチミン市在住のハイン氏(27)は、通勤途中の屋台で朝食を買う際、現金を使わずQRコード決済を利用するのが習慣となっている。スマートフォンの画面を見せるだけで店主が頷き、決済は完了するため、手間がかからず、スムーズに取引可能な点が魅力であると語った。
他の者も同様にバインミーからオンラインショッピングや公共料金の支払い、航空券の購入まですべて電子決済アプリで済ませられるため、ほぼ現金を持ち歩かないという。
QRコード決済の導入は大規模な商業施設だけではなく、市場や屋台、個人商店、移動販売車など、あらゆる場面に広がっている。
キャッシュレス決済の普及はSNS上でも話題になっており、フィンテック関連の調査会社Reputaが2024年末に発表した報告書によれば、電子決済は特に若年層の間で活発に議論されるキーワードの1つである。
若者たちはポイント還元や割引キャンペーン、特典付きバウチャーを活用し、お得な使い方をSNSで共有している。MoMoでは飲食、交通、ショッピング、美容、エンターテインメント、ファッション、旅行など、18万以上の提携店舗でギフト券や割引が利用可能である。
電子決済アプリの普及は都市部にとどまらず、地方や山間部、離島にも広がっている。MoMoやZaloPay、ViettelMoneyなどのアプリが、モバイルインターネットの普及を活用し、銀行口座を持たない人々にも利便性を提供している。
2024年6月時点でベトナムにおけるモバイルマネーのアカウント数は913万件に達し、その約70%が農村部や山間地域、離島で開設されたものであった。これにより、従来金融サービスへのアクセスが難しかった地域の人々も、簡単に電子決済の利用が可能となった。
電子決済の普及は単なる支払い手段にとどまらず、金融サービス全体のデジタル化を促進している。AIを活用した支出管理機能を備えたアプリでは、取引履歴を自動分類し、利用者の収支状況を可視化することで、家計管理をサポートしている。
また、公共料金や社会保険料、健康保険料、自動車やバイクの登録税、交通違反の罰金など、従来は窓口での手続きが必要であった公的サービスの支払いも、アプリ上で完結可能となった。MoMoによると、2024年の国家公共サービスポータルにおけるキャッシュレス決済の35%が、同アプリ経由で行われたという。
さらに、オンラインでの預金口座開設や投資信託、株式投資も手軽に行えるようになり、所得や居住地域に関係なく、多くの人が金融サービスを利用できる環境が整いつつある。例えば、50万ドン(約3075円)からの預金口座開設や1万ドン(約62円)からの投資信託購入が可能となっている。
金融サービスへのアクセス拡大に向けた取り組みも進行中であり、MoMoとTPBankは後払いウォレットを提供し、従来信用履歴を持たない人々でも小口融資を受けられる仕組みを構築した。
これにより、銀行融資を受けにくい層でも必要な資金を確保しやすくなった。
こうした取り組みの結果、MoMoは2024年の「ベトナム・ベストブランドランキングにおいて、4年連続でトップ10入りを果たした。これは食品・飲料(F&B)、電子商取引(EC)、家電、テクノロジーなどの主要ブランドと並び、電子決済が日常生活に不可欠なインフラとなったことを示している。
ベトナムにおけるキャッシュレス決済の拡大は利便性の向上にとどまらず、経済の効率化や金融包摂の促進にも貢献している。キャッシュレス社会への移行が進む中、電子決済は今後ますます生活に欠かせない存在となっていく見込みである。
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