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ベトナムで蔓延、SNS発信の偽医療情報

<写真:vietnamnet.vn>
近年、ベトナムではTikTokをはじめとするSNS上で「自称医師」が発信する健康アドバイスを信じた結果、誤った治療により病状が悪化し、入院を余儀なくされる事例が相次いでいる。
これらのTikTok医師と呼ばれる人物は、医学的根拠に乏しい民間療法や偽薬を紹介し、動画や投稿が数万回単位で拡散されている状況である。
SNSでは「ドライヤーで後頭部を温めると脳卒中が治る」「背中に温風を当てると呼吸器疾患が改善する」といった投稿が多くの注目を集めている。
しかし、こうした主張に対して医療関係者は明確に否定しており、ベトナム保健省によれば、特に高齢者がこうした情報を鵜呑みにし、誤った処置を行うことで救命の遅れや深刻な健康被害につながっているという。
実際に、ある男性患者の例では、脳卒中の疑いがある夫に対し妻が指先から血を抜くという民間療法を試みたが、症状の改善は見られず、20分後にようやく病院に搬送された。
この行為について医師は、感染症のリスクを高めただけではなく、救命処置の遅れにつながったと指摘している。
さらに、不妊症に効果があるとされる未承認薬をSNSで購入し、長期間服用した結果、妊娠の機会を失った夫婦の事例も報告されている。
専門家によれば、こうした背景には「どこかに効く方法があるはず」という切実な思いや、医療知識を持たないインフルエンサーへの過信があるという。
ホーチミン市のがん専門医は「信頼に足るのは医学論文や専門家による記事のみである」と強調し、SNS上で販売されている薬やサプリメントには一切の信用を置くべきではないと警鐘を鳴らす。
また、健康に不安がある場合は、必ず医療機関を受診すべきであるとしている。
ベトナム脈管学会のドアン・ズー・マイン医師も、未確認の情報に惑わされることなく、病院や公的機関が発信する正確な情報に基づいた判断を行うよう訴えている。
SNSの利便性と同時に潜むリスクを正しく見極め、信頼できる医療知識へのアクセスが今一度問われている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。