ベトナムの新型コロナウイルス第4波について解説|感染源など

ベトナムの新型コロナウイルス第4波について解説|感染源など

2021年4月27日に発生が確認されたベトナムにおける新型コロナウイルス第4波。

感染状況がものすごく複雑な状況になっています。

今回はベトナムの日本人医師である中島敏彦先生がベトナムにおける新型コロナウイルス第4波の状況を整理しました。

 

※この記事は、中島先生の運営するWEBページ「ベトナムで医者をやってます。」の情報を一部編集し転載しています。

5月27日夜時点での現状

4月27日に第4波が発生して以降、ベトナムの30以上の省と都市で3105件の新型コロナウイルスの市中感染が報告されています。

この第4波に伴う死亡者は11名です。

ここ数日は、バクザン省やバクニン省の工業団地での感染が拡大しています。

何故わかりづらい

臨床医視点でまとめると、第4波の感染状況がわかりづらい理由は大きく5つあります。

  1. 短期間に、異なる原因のクラスターが多発した。
     
  2. 情報の更新が早くて追いきれない、広がりすぎて地名が分からない。
     
  3. インド型変異株まで入ってきている。それによりこれまでと病気の性質が変わった
     
  4. これまでの第2、3波とはまるで違う様相。
     
  5. あえて言うなら第4波の発生初期は『水際対策がまだ未熟だったため、気が付いたらいつのまにやら広がっていた第1波』に近かった。
    時間の経過に伴い病院クラスターが起き、その中で基礎疾患がある入院患者や、高齢者が感染者の増加に伴い、結果として死亡例が出ている。

第4波の懸念事項

  1. 第4波の発端となったケースのほとんどは、14日間の隔離期間(現在は21日に変更になった)を完了した人たちから発生している。
     
  2. また現在、ハノイの熱帯性疾患国立病院やK病院、ダナン市、ハイズオン県などで生じているクラスターの感染源は未だ明確になっていない。
     
  3. 第3波までは明らかな震源地(Epicenter)があった。第4波はこれまでと異なり、短期間の間に、様々な地域で、原因が異なるアウトブレイクが同時多発的に発生した。
     
  4. 主要な原因の一つがベトナムに入ってきた外国人専門家に端を発したものであり、一部の隔離地域において管理が甘かった。
     
  5. さらに市中感染と、病院や工場などでの施設内感染が流行の主要な原因となった。これにより多くの病院や工場が巻き込まれ、クラスターを形成した。
    病院でクラスターが発生したことにより、高齢であったり基礎疾患のある方々が巻き込まれて感染した。これにより死亡例が出てきている。今後も増えるものと予想される。
     
  6. 発生している患者のほとんどはインド型(B.1.617.2)、もしくはイギリス型(B.1.1.7)変異株に感染している。
    いずれの株も感染力の増強があると言われている。
    ベトナムでの調査によると、インド型変異株は閉鎖空間における空気中の拡散が早く伝染力が高く(空気感染が示唆されている)、英国型変異株よりも感染性が高いとのこと。
    バクニン、バクザン、ハノイのK病院、ビンフック、ハイフォンから取り寄せられた新型コロナウイルスのサンプルの遺伝子配列を調べたところ、すべての地域においてインド型変異株が認められた。
    ホーチミンの市中感染でもハイフォンからのリンクでインド型が、ダナンからのリンクでイギリス型が見つかっている。

第4波の感染源

ベトナムで発生している新型コロナウイルス第4波の感染源は、以下の4つだと考えられている。

  1. 日本からベトナムに帰国し、南中部沿岸地方ダナン市での強制隔離期間終了後、北部紅河デルタ地方ハナム省に戻ってから陽性となった2899人目の感染者からクラスターが発生した。イギリス変異株(B.1.1.7)が見つかる。
  2. インドから入国し、西北部地方イエンバイ省のホテル「ニューグエット2(Nhu Nguyet 2)」で強制隔離措置を受けていたインド人専門家らからクラスターが発生した。インド変異株(B.1.617.2)が見つかる。
  3. ラオスから不法入国し、北部紅河デルタ地方ハイズオン省に移動した3051人目の感染者からクラスターが発生した。
  4. ハノイ市中央熱帯病病院から同市K病院をはじめ、他の省の病院にまでクラスターが広がった。

ベトナム政府の対策

基本的な対策

ベトナムにおいて市中感染が起こった際の対応の基本方針は、厳密なコンタクトトレーシング(接触者追跡)からの囲い込み(隔離とゾーニング)。

 

すべてのクラスターが補足されているならば、『あと何日で落ち着きそう』っていうのが予測可能だが、現在、新たにホーチミンやダナンなどで市中感染が出現し、調査中であるため、予測が難しくなった。

当局はウイルスがすでにコミュニティ内に存在していると認識を変更している(つまり感染のリンクが追えていない)。

 

実際に、リンクを持たない風邪症状を訴えている人を検査することにより、新型コロナウイルスと診断されるケースも増えてきている。

感染制御のための社会隔離措置に移行しないように、ダナンなどで大規模検査が始まっている。

ホーチミンでも連休以降に感染流行地域から入域した全員について検査を実施する計画がある。

 

今回特に新しく行われた/強調された対策

  1. 強制隔離期間を14日から21日に延長。
    ウィルスの潜伏期間が長く、感染力も強いことが推測されたため。
     
  2. クラスターが発生しやすく、発生した場合に重大な影響を生じやすい所を対象としたスクリーニングと感染拡大防止策の強化。
    特に高リスクグループと考えられているのは病院や工業地帯。
    保健省は、地方自治体に対し、工業団地および工業団地内の企業各社に新型コロナ対策を徹底させるよう求め、これを徹底しない場合は営業を一時停止とするよう要請した。
     
  3. 5Kを徹底する。
    5Kとは:マスク、消毒、距離の維持、集会の禁止、健康宣言の5つを行うこと。
    すでに以前から市中感染が進行しており、現時点でも感染源が見つかっていないクラスターもあるため、今後も新たな市中感染の報告があると考える。
    上記に加えて省や市によって様々な対応。自分が所属する地域の大使館、領事館のホームページが参考になる。

今後の見込み

5月11日の時点で、保健省のDo Xuan Tuyen副大臣より「基本的に新型コロナウイルスの流行は制御下である」と発表があった。

しかし、現在新たにホーチミンなどで市中感染が出現しており、全体像が補足しきれていいないため、今後新たな経路不明の市中感染が続発する可能性が高い。

当局はウイルスがすでにコミュニティ内に存在し、感染のリンクが追えきれていないと認識している。

また、入院患者が多く、感染が伝播しやすい病院内でクラスターが発生したことにより、多くの高齢者や基礎疾患のある方々が感染した。

これにより今後も引き続き死亡例が増えるものと予想される。

 

代表的/特徴的なクラスターや市中感染(2021年5月15日時点)

▶︎ハナム省を中心とするクラスター

日本から帰国したイギリス変異株(B.1.1.7)ベトナム人をF0とするクラスター。

なお、このF0の方は自己隔離期間中のルールを順守しなかったことにより、クラスターを発生させたということで、刑事事件として立件された。

また、2週間の強制隔離後に検査が陽性となり、他人に感染させていたというのも特徴的。

 

▶︎ビンフック省を中心とするクラスター

①インド型変異株に感染した中国人専門家に端を発するクラスター。

この中国人専門家のグループは、4月9日から23日までイエンバイ省のホテルで2週間の強制隔離措置を受けていた。
その後検査が陽性になり、他人に感染させていた。
 

②同ホテルでは同じく隔離措置を受けていたインド人専門家4人とホテル従業員1人の陽性者も出ており、これらはすべていわゆるインド変異株(B.1.617.2)だった。
 

③ダナンからハノイへの飛行機(VN160)でこの中国人専門家グループの一員の近くに座っていた方が感染。

 

▶︎ダナンでで生じた複数のクラスター

上記②のインド型変異株(B.1.617)に関連した市中感染の発生だけでなく、F0不明の市中感染も出ている。

 

また、以下のように工業団地を含んだ複数のクラスターも発生している。

特に今回の第4波において工業団地でのクラスターの発生は特徴の一つとして位置づけられている。

  1. ダナンの有名なナイトスポットである、New Phương Đông barでクラスターが発生している。
  2. Amida beauty salonを起点とするクラスター。 
  3. Son Tra DistrictのAn Don工業団地でもクラスター。

 

▶︎ハノイで生じている複数のクラスター

①ハノイのThe National Hospital for Tropical Diseases でのクラスター

  • 現在閉鎖中。
  • インド型変異株がでている。
  • 北部の代表的な医療機関で、現在コロナ対策の最前線。
  • これに関連してバクニン省のThuan Thanh郡Mao Dien村などでクラスターが形成。

 

②ハノイのK Hospitalのクラスター

  • がん治療に関する最高機関、日本で言うがんセンターのような所。
  • 多数感染者が見つかっており、ホットスポットとなっている。
  • 熱帯病院からの飛び火であった。
  • 現在は制御下に置かれていると発表あり。

 

③ハノイの国営建設会社の社長関係

  • ダナンに渡航歴あり。初期の診察の時点でダナンから帰ってきたことを医師に伝えなかった。
  • その他さまざまなコロナウィルスの感染制御に関する規則を破ったこと(連休中に新型コロナの市中感染が発生した南中部沿岸地方ダナン市を旅行し、ハノイ市に戻った後に健康申告を行わなかっただけでなく、当局が公共の場での集まりを禁止している中、各地でパーティーやミーティングに参加していた)が発覚し、責任を問われ懲戒処分となった。
    さらに感染の広がり方によっては刑事訴訟になるとのこと。
  • この感染者の行動の結果として、ハノイの病院を含めた5カ所が閉鎖されている。
    濃厚接触者も隔離中。感染者も出ている。

 

④ホアンマイにあるタイムズシティでの集団感染。

 

▶︎北部紅河デルタ地方バクニン省の工業団地でのクラスター

  • 複数の工場で感染者を確認。
  • 市中に広がるリスクが依然として残っている。

 

▶︎バクザン省の工業団地でのクラスター

  • 密閉された環境内における感染であり、非常に早く広がった。
  • ほとんどがインド型変異株の感染。
  • 市中に広がるリスクは依然として残っている。

 

▶︎病院クラスター

①ハノイ

  1. 熱帯性疾患国立病院(the National Hospital for Tropical Diseases)
  2. K病院(K Hospital):封じ込められているとの情報あり。
  3. 105軍病院(105 Military Hospital)
  4. メドラテック病院(Medlatec Hospital)
  5. Hữu Nghị Hospital

 

②ビンフック省

  1. フックイエン総合病院(Phuc Yen General Hospital)

 

③ランソン省

  1. ランソン肺病院(Lang Son Lung Hospital)

 

④タイビン省

  1. タイビン総合病院(Thai Binh General Hospital)
  2. タイビン医科薬科大学の4人の学生がnCoVに陽性-zingnews

 

⑤ゲアン省

  1. クインラップ国立ハンセン病皮膚科病院(Quynh Lap National Leprosy Dermatology Hospital)
  2. ダナンのホアンマイ病院(Hoan My Hospital)

 

ホーチミンでの市中感染

  • 5月18日から21日正午までに5人の市中感染者が確認された。
  • ホーチミンの市中感染でもハイフォンからのリンクでインド型が、ダナンからのリンクでイギリス型の変異株が見つかっている。
  • ホーチミン当局は、ウイルスがすでに市中に存在していると認識し、感染の蔓延を防ぐために警戒を怠らないよう警告した。それに伴い様々な施策が始まっている。

新型コロナ・ワクチン情報などについて

さらに詳しいワクチン情報やワクチンパスポート情報、その他ベトナムの新型コロナウイルスの感染状況、医療情報は中島先生の運営する中島先生の運営するWEBページ「ベトナムで医者をやってます。」からご覧いただけます。

ベトナムで医者をやってます。

http://medart.xsrv.jp/

 



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