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1日からATMカード廃止等、金融制度改革が本格始動

<写真:dantri.com.vn>
2025年7月1日、ベトナムにおいて金融関連制度の大幅な改正が施行された。
ATM磁気カードの使用停止をはじめ、電子決済手段の法的整備、農業向け融資制度の拡充など、幅広い分野にわたる改革が実施され、金融のデジタル化と包括性の推進に向けた国家戦略が本格的に動き出した。
まず、中央銀行による通達18号の施行により、従来の磁気ストライプ式ATMカードの全取引が停止された。
対象は磁気ストライプのみのカードおよびICチップとの併用カードである。
国内には約800万枚の磁気カードが残存しているが、そのうち実際に使用されているのは全体の約14%に過ぎない。
未更新のカードはATMやPOS端末での使用が不可能となり、一部のカードは完全に無効化される措置が取られた。
また、通達40号により、電子マネー(モバイルウォレット)は銀行口座や現金と同等の法的決済手段として正式に認められた。
これによりスマートフォンアプリを通じた商品・サービスの支払いや、送金・引き出しなどの取引が一層容易となり、非接触型決済の普及が一段と進むことが見込まれている。
農業金融分野では、政令156号の施行により、農業従事者に対する無担保融資の上限額が大幅に引き上げられた。
個人や世帯向け融資の上限は3億ドン(約164万9100円)、協同組合向けは最大5億ドン(約274万8500円)とされ、資金調達の選択肢が拡大された。
さらに、土地使用権証明書(いわゆるレッドブック)を未取得の場合でも、書類提出義務の一部が免除され、より柔軟な融資が可能となった。
加えて、フィンテック分野の育成を目的とした規制緩和策も進められている。
政府はP2P(個人間)融資の試験運用を2年間限定で許可し、国家銀行の承認を得た企業に限り、オンラインプラットフォームを通じて貸し手と借り手を直接仲介できる仕組みを導入した。
さらに、企業や事業者に対しては、電子決済や送金時における代表者の生体認証登録が義務付けられた。
これに対応しない事業体は今後一部の銀行サービスが利用不可となる見通しである。
今回の制度改正は金融包摂の拡大、現金依存からの脱却、さらにはフィンテックの振興といった国の中長期的な経済戦略と密接に結びついている。
これらの施策によりベトナムはキャッシュレス社会への移行と、より持続可能で開かれた金融エコシステムの構築を加速させる構えである。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。