ベトナムで食べられている魚|種類・ベトナム語・代表料理を紹介
目次
ベトナムの市場やスーパー、ローカル食堂では、日本ではあまり見かけない魚や魚料理に出会います。特にメコンデルタでは淡水魚が食文化に深く根付き、海沿いの地域では海水魚も身近です。
一方で、ベトナム語の魚名は日本語の魚名と1対1で対応しないことがあり、「cá basaとcá traは同じ魚?」「cá thuは日本のサバ?」と迷いやすいのも事実です。
この記事では、ベトナムでよく見かける魚の種類とベトナム語名、代表的な魚料理、ヌクマムなどの加工品、魚を買うときのポイントを日本人向けに整理します。
この記事のポイント
- cá traとcá basaは別の魚。どちらもパンガシウス科ですが、同一種ではありません。
- 市場やメニューでは、cá lóc・cá thu・cá giòなどの名前もよく見かけます。
- 代表的な魚料理には、cá kho tộ、chả cá、cá tai tượng chiên xùなどがあります。
- 魚を買うときは、鮮度に加えて原産地・保存状態・表示も確認すると安心です。
ベトナム語の発音について
本文中のカタカナ表記は目安です。ベトナム語は地域によって発音が異なるため、店頭ではスペルを見せると伝わりやすくなります。
ベトナムでよく見かける魚・ベトナム語一覧
まずは、スーパーや市場、料理名で目にしやすい魚を一覧で確認しておきましょう。
| ベトナム語 | 日本語の目安 | 特徴 | 料理での使われ方 |
|---|---|---|---|
| Cá tra | パンガシウス科のナマズ | 白身で、ベトナムの養殖・加工で重要な魚 | 煮物、揚げ物、フィレなど |
| Cá basa | バサ | Cá traとは別種のパンガシウス科の魚 | 煮物、揚げ物など |
| Cá trê | ナマズ類 | Cá traとは別の呼び名。淡水魚として料理に使われる | 焼き物、煮物など |
| Cá lóc | ライギョ類 | 淡水に生息するスネークヘッドの仲間 | スープ、煮物、焼き物など |
| Cá thu | サバ・サワラ類 | 市場名として幅があり、日本の「サバ」と完全には一致しない | 煮物、焼き物、揚げ物など |
| Cá giò / Cá bớp | スギ(cobia) | 海・汽水域に生息する大型魚 | 焼き物、鍋、煮物など |
Cá tra|ベトナムの養殖・加工で重要なパンガシウス
Cá traはパンガシウス科の淡水魚で、ベトナムの養殖・加工で広く扱われています。VASEP(ベトナム水産輸出加工協会)ではPangasianodon hypophthalmusとして紹介されています。
日本では白身魚やパンガシウスとして流通することがあり、淡白でクセの少ない白身は、揚げ物や煮物、フィレなど幅広い料理に使われます。
Cá basa|Cá traとは別種のバサ
Cá basaは、VASEPではPangasius bocourtiとして区別されているパンガシウス科の魚です。Cá traと同じ魚として扱われることがありますが、正確には別種です。
切り身になると見分けにくいため、スーパーで購入する際は商品名や原材料表示を確認すると分かりやすくなります。
バサの大きさについて
FishBaseではPangasius bocourti(cá basa)の最大体長は120cmと記録されています。大型の淡水魚ですが、「250kgを超える魚」として扱うのは適切ではありません。
Cá trê|ベトナムで食べられるナマズ類
Cá trêはナマズ類を指す呼び名です。スペルが似ていますが、cá traとは別なので注意しましょう。
地域や種類によって使われる魚が異なるため、「cá trê=特定の1種」と決めつけず、料理名や売り場表示とあわせて確認するのが確実です。
Cá lóc|ライギョ類の代表的な淡水魚
Cá lócはスネークヘッド、いわゆるライギョ類の魚です。ベトナムの法令資料でも、cá lócとしてChanna striataが掲載されています。
淡水魚料理で使われ、スープや煮物、焼き物など幅広い調理法があります。
Cá thu|「サバ」だけではないサバ・サワラ類
Cá thuは日本語では「サバ」と訳されることがありますが、ベトナムでの呼び方はもう少し広く、サワラ類を含むサバ科の魚にも使われます。
たとえばFishBaseでは、ベトナム名cá thu chấmとしてIndo-Pacific king mackerelが登録されています。そのため、売り場でcá thuと書かれていても、日本で一般的なマサバやゴマサバとは限りません。

Cá giò / Cá bớp|スギ(cobia)
Cá giòまたはcá bớpは、英語でcobia、日本語でスギと呼ばれる魚です。2026年のベトナム農業・環境省資料では、Cá bóp biển / Cá giòとしてRachycentron canadumが掲載されています。
スギはスギ科(Rachycentridae)の魚で、一般的なスズキとは別のグループです。身に食べごたえがあり、焼き物や鍋、煮物などで食べられます。

ベトナムの代表的な魚料理
魚の名前が分からなくても、料理名を覚えておくとローカル食堂や旅行先で注文しやすくなります。
Cá kho tộ|甘辛い魚の土鍋煮
Cá kho tộは、魚を土鍋で甘辛く煮るベトナム料理です。Vietnam Tourismでもメコンデルタを代表する料理のひとつとして紹介されており、淡水魚を香辛料や調味料と一緒に煮込みます。
「cá」は魚、「kho」は煮詰める・煮る調理法、「tộ」は土鍋を指します。ご飯と合わせやすく、日本人にも親しみやすい味付けの店が多い料理です。


Chả cá|ハノイ名物のターメリック香る魚料理
Chả cáは、ハノイを代表する魚料理として知られています。ターメリックなどで下味をつけた魚を焼き、ディルやネギと一緒に熱々の鍋で仕上げ、米麺やピーナッツ、発酵エビペーストなどと食べるスタイルが有名です。
Vietnam Tourismの公式情報でも、cá lăngと呼ばれるナマズ系の魚を使う例や、別の魚を使う説明があり、使用魚は店やレシピによって異なります。

「chả cá」のchảは魚名ではありません。
cá trêやcá traのような魚名とは別です。また、スーパーではchả cáが魚のすり身・魚肉練り製品を指すこともあるため、文脈で意味が変わります。
Cá tai tượng chiên xù|メコンデルタ名物の揚げ魚
Cá tai tượng chiên xùは、cá tai tượng(giant gourami/Osphronemus goramy)を丸ごと揚げる料理です。Vietnam Tourismでは、ベンチェーなどメコンデルタで味わえる代表的な料理として紹介されています。
揚げた魚の身を取り、キュウリやパイナップル、香草、米麺などと一緒にライスペーパーで巻いて食べるスタイルも定番です。


魚を使った調味料・加工品
Nước mắm|ベトナム料理に欠かせない魚醤
Nước mắm(ヌクマム)は、魚を塩とともに発酵させて作る魚醤です。原料や製法は産地・商品によって異なります。
代表的なフーコックの地理的表示(GI)魚醤について、ベトナム知的財産庁はcá cơm(カタクチイワシ類)を原料とし、木樽で長期発酵させる伝統製法を紹介しています。

ヌクマムの原料魚は産地や商品によって異なります。
代表例としてフーコックのGI魚醤では、cá cơm(カタクチイワシ類)が原料として規定されています。イワシやムロアジはいずれも海水魚です。
Chả cá・cá viênなどの魚加工品
ベトナムのスーパーでは、chả cá(魚のすり身・練り製品)やcá viên(魚のボール状加工品)なども販売されています。
一方、xúc xíchは一般にソーセージを指し、魚を原料にしたものならxúc xích cáと表記されます。
原料魚や配合は商品によって異なるため、「魚肉ソーセージ=バサ」と決めつけず、原材料表示を確認しましょう。
加工品を買うときは、商品名だけで判断せず、原材料欄にcá tra、cá basaなど何の魚が使われているか確認するのがおすすめです。
市場・スーパーで魚を買うときのポイント
ベトナム政府系ポータルの食品安全案内では、水産物は生きているもの、または少なくとも氷で適切に保冷されているものを選ぶことが推奨されています。
- 身に弾力があり、押した跡が残りにくいか確認する
- うろこがしっかり付いているか確認する
- えらが赤〜ピンク色か確認する
- 自然な魚のにおいと、腐敗した異臭を区別する
- 包装品は原産地、消費期限・賞味期限、保存方法、包装状態を確認する
魚の安全性は、特定のニュースだけで一律に判断できません。
購入先、保冷状態、包装品の原産地・期限表示など、購入時に確認できる情報を優先しましょう。
メニューで役立つ魚料理のベトナム語
| ベトナム語 | 意味 | 料理名の例 |
|---|---|---|
| Cá | 魚 | Cá kho |
| Kho | 煮る・煮詰める | Cá kho tộ |
| Chiên | 揚げる・油で焼く | Cá chiên |
| Nướng | 焼く | Cá nướng |
| Hấp | 蒸す | Cá hấp |
| Lẩu | 鍋 | Lẩu cá |
シーフードレストランでは魚介を選んでから調理法を指定する店もあります。注文方法を詳しく知りたい方は、ダナンのシーフードレストランでの頼み方も参考にしてください。
よくある質問
Cá basaとCá traは同じ魚ですか?
同じではありません。どちらもパンガシウス科ですが、VASEPではcá traをPangasianodon hypophthalmus、cá basaをPangasius bocourtiとして区別しています。
Cá thuは日本のサバですか?
必ずしも日本のサバと同じではありません。ベトナムではサワラ類を含むサバ科の魚にもcá thuの名前が使われるため、種類を知りたい場合は売り場の詳細表示を確認しましょう。
Chả cáは「チャー」という魚の料理ですか?
いいえ。ハノイ名物のchả cáは料理名で、cá traやcá trêという魚名とは別です。使う魚は店やレシピによって異なります。
まとめ
ベトナムの魚を理解するうえで、まず覚えておきたいのはcá traとcá basaは別種ということです。
さらに、cá thuのように日本語へ単純に置き換えにくい魚名もあるため、ベトナム語表記をそのまま覚えておくと市場やメニューで役立ちます。
料理ではcá kho tộやchả cá、メコンデルタのcá tai tượng chiên xùなど、地域ごとに特色があります。
魚そのものだけでなく、調理法のベトナム語も覚えておくと、ローカル食堂やシーフードレストランをより楽しみやすくなります。
ベトナム料理全体を知りたい方は、ベトナム料理の定番グルメまとめもあわせてご覧ください。
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